特集

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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2011年度からは質保証との関係を重視

 基準協会は、2011年度から新しい大学評価システムをスタートさせる。その特徴は、大学内に構築される質保証システムの有効性を重視することである。こうした大学評価システムを導入した背景には、認証評価の第一サイクルにおいて、自己点検・評価が大学の改善に連動していないケースが少なからず見受けられたために、この点をふまえ、大学が本来持つべき自主的・自律的機能を質保証においても発揮させることを、大学評価を通じて促進する必要があった。
 つまり、大学は、PDCAサイクルを適切に機能させることによって、大学として妥当な水準を維持していること、および理念・目的の実現に向けた継続的な努力を行っていることを、大学自らの責任で説明・証明するためのしくみ、すなわち内部質保証を徹底させる必要があるのである。
 基準協会は、この新大学評価システムを稼働させるにあたり、評価基準である「大学基準」の改定を行い、15の基準を10に集約した。
新認証評価と情報公表のイメージ 現行の基準「14.点検・評価」と「15.情報公開・説明責任」を統合して、次年度からは「10.内部質保証」とする。この「10.内部質保証」については、「大学は、その理念・目的を実現するために、教育の質を保証する制度を整備し、定期的に点検・評価を行い、大学の現況を公表しなければならない」と規定した。
 2つの基準を統合し「内部質保証」としたのは、大学が自らの現況を公表することは社会に対する説明責任を果たすうえで当然の行為であることを前提に、公表と内部質保証システムを連動させていくことが重要である、との考えに基づいている。単に情報を公表するだけではなく、現況を真摯に受け止め、大学として取り組まなければならない課題などを的確に把握して、その解決に向けて必要な取り組みを実行すべきという考え方である。
 ところで、今回の法令改正は、9項目にわたり公表を義務付け、学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)などの公表は「学生が修得すべき知識及び能力に関する情報」との表現で、努力義務にとどめられた。
 この点に関して、基準協会の新大学評価システムでは、「4.教育内容・方法・成果」において、「大学は、その理念・目的を実現するために、教育目標を定め、それに基づき学位授与方針および教育課程の編成・実施方針を明示しなければならない。また、こうした方針に則して、十分な教育上の成果をあげるための教育内容と方法を整備・充実させ、学位授与を適切に行わなければならない」と定めて、学位授与方針および教育課程の編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)の策定とその公表を求めることとしている。
 大学の多様化、ユニバーサル化の進展に伴い、教育プログラムの質や水準を在籍学生や志願者に対して正確に伝えることが不可欠となり、評価の際には大学の教育情報の正確性、信頼性、完成度などが重要な観点となり得よう。


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