特集
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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提言

教育の中身の発信を最優先課題とし
大学選びの新しい基準の提起を


私たち進研アドは、今回の情報公表の制度化が、大学の価値に対する社会の意識を大きく変える契機になると考えている。それを実現するためには、制度への対応にとどまらない"顧客本意"の戦略的な情報公表が求められている。

限られた資源の中で必要な優先順位

 文部科学省は、大学に公表を義務づける「教育情報」として9項目を示した。私たち進研アドはその中でもまず、狭義の「教育情報」を受験生にきちんと伝えることに、最優先で取り組むよう大学に提案したい。具体的には教育本体の情報、すなわち、大学の商品ともいうべきカリキュラム、授業、そして教員に関する情報である。これらが受験生にきちんと伝わることによって大学選びのあり方が変わり、大学に対する社会の価値基準も確実に変わっていくと考えるからだ。
 時間、予算、マンパワーが限られている中で情報公表に取り組む以上、優先順位をつける必要がある。9項目の中には、入学者数や学生数、就職状況、施設・設備、授業料・入学金など、教育本体に付随するさまざまな情報が含まれている。これらに対する関心の高さ、情報としての重要性は、本特集の中でもいくつかの調査結果や高校教員らの発言から確認できる。しかし、教育の中身をさしおいて、大学は入学者数や就職状況を伝えるべきだと考える人はいないだろう。その大学の教育内容に関心がないのに、就職率がどうか、授業料が高いのか安いのか知りたいという受験生はいないはずだ。


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