大学連携が生む 地域の活力
Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
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大学連携が生む 地域の活力

第4回

事業のグローバル化を視野に入れ
「大学のまち」を積極的にアピール

京都市は37の大学・短大を擁する「大学のまち」だ。しかし、これら大学を取り巻く環境は全国と同様に厳しい。
1994年設立の「大学コンソーシアム京都」は、2009年度に「第3ステージ」に入り、地域全体の競争力向上に向けて、新たな連携モデルを模索している。

先駆的な取り組みにより学生数増加などに効果

大学コンソーシアム京都の加盟大学・短大の学生数の推移 「京都・大学センター」を前身とする、日本初の大学コンソーシアム組織「大学コンソーシアム京都」の設立以来の理念は、「学生目線」のサービスの充実である。大学コンソーシアム京都の西浦明事務局長は、「事業は『学生のためになるか』という視点で検討している。学生一人ひとりの満足度の向上をめざす中で地域の教育力が高まり、結果として個々の加盟大学の競争力が底上げされる」と説明する。
 設立当時、京都市は、工場等制限法によって大学の市外流出が進み、危機感を強めていた。直近の大学コンソーシアム京都の試算では、大学が存在することによる経済効果は年間約5000億円。市の年間観光消費総額の約6100億円(2009年度)に見劣りしない額である。経済効果や地域活性化においても、高等教育機関の維持・充実は必須の課題であった。
 大学コンソーシアム組織としての基盤整備に取り組んだ「第1ステージ」(1994〜2003年度)は、主に単位互換制度、共同FD・SD事業、学生交流事業、インターンシップ事業や生涯学習講座などの推進に注力した。これらは現在も事業の中核である。2000年にJR京都駅前に完成した「キャンパスプラザ京都」には大学コンソーシアム京都の事務局が置かれ、単位互換授業の開講をはじめ各種事業の拠点となっている。
 連携の高度化や個別大学の魅力創出支援に力を入れた「第2ステージ」(2004〜2008年度)の到達点の一つは、「京都高等教育研究センター」の開設だ。高等教育の実態と課題、京都という地域の優位性を生かした大学づくりなどを研究し、事業への反映や加盟大学への還元を図った。さらに、単位互換制度の充実、小中高大連携や産学官連携のしくみづくり、国際交流・留学生支援事業なども推し進めた。
 設立以来、加盟大学の学生数の総計は増加傾向にあり、第2ステージ総括のために実施した大学へのヒアリングでは、事業の質的・量的な進歩は高く評価された。一方で、事業が総花的に広がっているとして、事業の費用配分の再検討を要望する声もあった。

単位互換制度の実績

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