大学が従来行ってきたブランディングの多くは、一般に「アンブレラ型」と呼ばれるものである。大学名で全ての活動をカバーし(個々の活動は、「○○学部」「××大学オープンキャンパス」などの一般名詞で呼称)、その大きなブランドによって「認知と信頼」を獲得しようというものである。このようなブランディングは1980年代頃までは企業の間でも主流の手法であった。
しかし1990年代以降、多くの企業は「プラットホーム型」のブランディングに移行している。プラットホーム型では、企業名(企業ブランド)を品質保証的な機能に限定する。代わって顧客の「関心」を喚起するための小さな、しかしそのポジショニングがはっきりしたブランド群を導入することで、全体的なブランドフォーメーションを提示するのである。ソニーを例に、2つの違いを表すと下図のようになる。企業は顧客の具体的な関心に基づく小さなブランド群を機動的に操り、時代や顧客ニーズの変化と多様性に素早く対応した価値創造とコミュニケーションを行っているのである。 |