大学ブランディング成功への道

Between(株)進研アドが発刊する高等教育のオピニオン情報誌
  PAGE 2/5 前ページ 次ページ

理念の議論より小さなブランドを先行

 大学ブランディングを行う場合、多くの大学では、各部門から代表者を出す全学横断的な「ブランド委員会」の設置から始める。大学の建学の理念は常に現代的な問い直しを行う必要があるので、ブランド委員会における議論は中期的なスパンでは必要である。しかし、関心に基づく小さなブランド群づくりは、全学的な理念の見直しと再規定を待たずに、学内のさまざまな単位で自律的に先行して行うべきである。関心を中心とした活動のブランド化は、高校生などにとって大学の具体的な魅力の認知につながる。ブランド委員会の結論を待って魅力の伝達を遅らせることは本末転倒である。
 また、小さなブランド群は、時代の変化や多様性を大学が顧客や社会から学ぶうえでの、対話のチャンネルになる。大学の長期的な方向性を検討するなら、まずは小さなブランド群によって生まれる集まりの反応を注意深く観察してその意味を学び、あらためて大学全体にフィードバックするほうがリスクも少なく、顧客や社会の支持も得やすくなる。
 まず小さなブランド群をつくり、それを大学名という大きなブランドに統合する方法自体は、理念の問題ではなく技術の問題だ。技術の問題である以上、(ブランド委員会の設置と結論を待つまでもなく)即効性のある対応がすぐに可能なはずだ。


  PAGE 2/5 前ページ 次ページ
目次へもどる
大学・短大向けトップへ