近年、大学新卒者の雇用環境が厳しさを増している。2010年4月時点での大学新卒者の就職率は91.8%(前年同期比3.9ポイント減)で、ここ十数年で最低だった2000年に次いで低い結果となった。これは就職希望者に対する就職者の割合であり、全卒業者に対する就職者の割合は60.8%(7.6ポイント減)と、さらに厳しい数字だ。就職も進学もしていない者の割合は21.7%(5.7ポイント増)で、2割の学生が進路未定のまま卒業した。
一方、求人倍率は、民間企業の調査によると、2010年の1.62倍に対して2011年は1.28倍。求人総数は72.5万人から58.2万人へ19.8%の減少となるが、就職希望者数は44.7万人から45.6万人と1.9%増え、厳しい状況が見込まれている。
こうした情勢に加え、学生の志望と企業の求人とのすれ違いも見られる。同じ民間企業の調査によると、従業員5000人以上の企業の求人倍率0.47倍に対し、従業員300人未満の求人倍率は4.41倍と高い。学生の漠然とした大企業志向が就職をいっそう難しくしている実情がうかがえる。
職種別にみても、学生の志望と企業の求人とにずれがある。厚生労働省の調査*によると、2010年2月時点で、サービス、運輸・通信、専門・技術の職種が不足している半面、事務職や単純工は過剰であった。長期的に見ても専門・技術職は不足傾向にある。
このような実情をふまえ、文部科学省は、キャリアカウンセラーを約250大学に配置し、就職支援体制を強化してきた。さらに、緊急経済対策として配置校を約500大学に倍増し、カウンセリングを強化してミスマッチ解消に努めていく。 |