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 学校活性のヒント 新潟県立国際情報高校

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新潟県立国際情報高校

日常生活で目にする素材と問題解決型の課題により「生きた」英語力を養成

 新潟県立国際情報高校の国際文化科は、英語の授業時間数を増やし、コミュニケーション能力の養成に力を入れている。受験対策としての英語だけではなく、さらに高レベルの英語力、つまり社会人になっても役立つ、英語でコミュニケーションできる力を付けようというわけだ。開校以来、英語科を担当している山賀淑雄先生は、授業方針についてこう語る。
 「リーディングでは読む、ライティングでは書くだけの授業とはせずに、『聞く、読む、書く、話す』の4技能を常に使うような授業を行っています。英語は一つの技能だけで使うのではなく、総合的な活動として使うものです。それぞれの技能がお互いに影響し、補い合うことで、生徒のコミュニケーション能力が伸びていくと考えているからです」

オーセンティックな教材を制作

 特に「英会話」(オーラルコミュニケーション〈以下、OC〉に相当する)の授業は、1、2年次では週2コマ、3年次では週1コマを設け、力を入れている。1クラスを11〜13人ずつの三つのグループに分け、日本人教師とALT(外国語指導助手)のチーム・ティーチング制。授業は英語のみで進め、生徒が積極的に発話できるように、教師と生徒の対話だけではなく、生徒同士のペアワーク、グループワークを数多く取り入れている。
 「英語はいきなりそのときになって話せるものではありません。普段から自分で積極的に物事を考えて、英語で話すクセをつけないと。その訓練を積むのが授業なのです」(山賀先生)
 日常会話から始まり、国際問題などをテーマにディベートを行えるよう、1年次はOC・A、2年次はOC・B、3年次ではOC・Cと、段階的にカリキュラムを組んでいる。教材には教科書だけでなく、教師とALTで独自にプリントを制作して取り入れている。その理由を丸山正彦先生はこう語る。
 「教科書だけに沿って学習していると、買い物やレストランでの会話というような、型にはまった英語だけをインプットしてしまいます。でも、日常会話の中でパターン化された英語を使うことはあまりありません。そのときの状況に合わせて、自分の意思を表現し、相手に伝えることができるようになること。これが私達が目指す、コミュニケーション能力なのです」
 プリントには日常生活で目にするもの、例えば新聞記事や広告、グラフといったオーセンティックな素材を使う。そのため、教師は普段から英字新聞や英文雑誌から教材として使えそうな記事を切り抜き、集めた膨大な材料の中から、テーマに合った素材を選ぶ。ただし、英文を原文のまま使わずに、ALTが高校生レベルの英文に加工する。その素材について、自分はどう思うのか、生徒同士で意見交換をさせたり、教師の口頭質問に対して答えさせるといった、問題解決型の課題を出していくのだ。

 
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