「データで考える子どもの世界」
 VIEW21 2001.02  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
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■part 3■ SHRの活動例
生徒の考えを深める話を中心に担任の考えを伝える

 part2で述べたように、SHRでの一番の目的は、生徒の様子を観察して生徒の状況をつかむことにある。SHRでの取り組みは、この目的を根底に据えて、生徒の様子に注意を向けながら行うようにしたい。
 10分程度のSHRでは連絡事項の伝達に時間を取られ、何か活動を行うだけの十分な時間がないのが現状のようだ。どの高校も、その中でやり繰りしていろいろな試みを行っている。活動の中心は主に2つだ。
(1)担任からの話
(2)生徒のスピーチ
 (1)担任からの話は、多くの教師が実践しているようだ。話す内容は大きく5つに分けられる。
・社会規範に関するもの
・自己を見つめるきっかけとなるもの
・他者との人間関係を考えさせるもの
・社会を見る目を養うもの
・学習、進路に関するもの
 また、クラスの状況を踏まえて話題を選ぶことも必要だろう。例えば、クラス全体の学習意欲が低下しているときに、日々の学習に取り組むことの重要性について話す、生徒の間に受験に対する不安が広がっているようだったら、先輩の合格体験を話して不安を取り除く、また失敗談を話すことなどが考えられる。
 短い時間なので、担任が一方的に話すことになるだろうが、厳しい言葉と褒め言葉をバランスよく入れて、メリハリを付けることも大切だろう。「朝早く来て、教室で勉強する人が多くなりました」「この3日間、欠席・遅刻・早退が一人もいません」など、ちょっとしたことでも評価すれば、生徒は前向きな気持ちになる。逆にクラスの雰囲気が浮ついてきたら厳しい態度で臨まなければならない。このように、担任の気持ちを伝えるためにもSHRを活用したい。
 朝のSHRだけでなく、終礼のSHRも行っている場合は、担任の話を比較的時間の余裕がある終礼時に行う方法もある。

SHRでの話題
・時事問題などのタイムリーなニュース
・教師が日々の生活の中で感じたこと
・教師の学生時代などの体験談
・その学年・時期の生徒の状況に合った本の紹介
・学校で起きた出来事についての担任の考え
・クラスの状況を踏まえた話

スピーチは自分の頭で考え表現するよい機会

 (2)の生徒によるスピーチは、自分の頭で考え、内容を組み立て、表現する練習になるばかりでなく、他の生徒の考え方、表現の仕方に触れる良い機会でもある。クラスの中には、意識の高い生徒や表現力の豊かな生徒が何人かはいるものである。そういう生徒のスピーチを聞けば、他の生徒はいろいろな面で刺激を受けられる。
 スピーチはテーマを設定しても、しなくてもよいだろう。「最近のニュースで感じたこと」「学校」「友達」など、何でもよい。年度当初なら、「自己紹介」をテーマとするのが適切だろう。自分を紹介するというのは案外難しいことであり、自分を見つめる良い機会になる。
 生活習慣の調査も有効だ。調査用紙をあらかじめ配付しておき、前日の学習時間や学習内容、睡眠時間などを毎日記入させる。学期の始めなど、ある特定の時期に1週間でも書かせれば、生徒が自分を振り返られるだけでなく、担任が生徒を知るデータにもなる。
 なお、毎朝の連絡事項の伝達を担任ではなく、生徒にさせる方法もある。職員朝礼で挙がった重要な連絡事項は担任が伝達し、時間割の確認など、その他の事項についてはクラス委員などに任せる。1年次では教師主導でも、学年が上がるにつれ、生徒主体の部分を増やしていくのもよい。SHR自体を生徒に運営させることで、生徒の自主性を育てていくのだ。その場合、学年当初からその形を作り上げた方がやりやすいだろう。


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