VIEW21 2001.02  特集 高校に迫りくるIT化の波

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「ネットワーク利用規定」を作成し、最低限のルールを周知させる

 また、コンピュータの使い方については、1年次1学期に『生活一般』の授業で一通り講義し、最低限インターネットは使えるよう指導している。コンピュータ活用のための下地を授業で整備し、それ以上のスキルは生徒自身が主体的に身に付けていく。しかし、野放図にコンピュータを使ってもよいのかというとそうではない。最低限のルールは守らなくてはならない。同校では『ネットワーク利用規定』を提示し、「ネットワーク上で他人を誹謗中傷したり、さげすむような発言をしてはならない」「電子メールには自分の署名を入れる」「相手からの個人的な電子メールを承諾なしに公開してはならない」など、ネットワーク上でのマナーやルールを生徒に周知させている。

情報発信の拠点として地域に貢献できる高校を目指す

 安芸高校のコンピュータ活用は、校内にとどまらない。『インテリジェント化計画』という大きな構想を打ち出し、校内での活用はもちろん、地域や家庭との連携など、高知県東部地区の情報発信の拠点として、地域に貢献できる高校となることを目指している。
 その一つとして現在行われているのが、「孫600人プロジェクト」という、生徒と地域のお年寄りとのパソコンを使った交流だ。
 「安芸市の老人ホームなどにパソコンを設置してもらい、生徒が行ってパソコンの簡単な操作方法や電子メールの送り方を説明するんです。そして『私にメールを送って下さい』と頼みます。そうしてお年寄りから送られてきたメールに、今度は生徒が返信します。電子メールだけでなく、例えば老人ホームのお祭りなどのお手伝いをするために訪問もします。そのお祭りの案内も、お年寄りがメールで生徒に送ってきてくれるんです。生徒も訪問した後にメールで感想などを送り、交流を深めます。安芸高校の生徒数は600人、地元のお年寄りにとっては孫みたいなものなので、『孫600人プロジェクト』と名付けました」(藪内末廣教頭)
 他にも「インテリジェント化計画」の一環として、'01年度早々に『海辺のパソコン・スクール』という、地元の人を対象にしたパソコン講習会も予定しているという。

図2 ネットワーク利用規定
本 則
  1. ネットワーク上で他人を誹謗中傷したり、さげすむような発言をしてはならない
  2. 発信する内容は、国内にとどまらず全世界に伝送される可能性があることに留意し、安芸高校生としての品位を損なわず、自ら責任を持てる内容に限る
  3. 他人の著作権を侵害するような行為をしてはならない
  4. 次の接続先へのアクセスは禁止する
    (1)有料データベース(2)オンラインショッピング(3)アダルトサイト(4)その他、高校生にふさわしくないと思われる接続先
  5. 使用権のないコンピュータへの侵入など、ネットワークの正常な運用を阻害する行為をしてはならない
  6. 他人のアカウントやパスワードでネットワークを使用してはならない。また、他人に自分のアカウントやパスワードを使用させてはならない
  7. 校内の情報機器(パソコン、ネットワークなど)を使用する際には、利用上のガイドラインに従わなければならない
  8. 利用者がこの規定に違反した場合、利用の停止やアカウントの抹消を含む指導を受けることがある
利用上のガイドライン
  1. 利用時間及び利用期間について
    (1)原則として昼休み、部活動の活動時間・活動期間と同一にする
    (2)教職員の指導の下ではこれ以外(日・祝日・長期休業中・部活動終了後)の利用を認める場合もある
  2. メールアカウント及びパスワードの発行について
    (1)個人用メールアカウントは、所定の用紙で申請した者に発行する
    (2)個人用メールアカウントはネットワーク管理者が定めたものを利用する
    (3)メールアカウントは個人に与えられるものであるから、他人に使用させたり、他人のものを使用してはならない
    (4)パスワードは本人であることを確認するための極めて重要なものであり、適宜変更を行うなどして、自分で責任を持って管理しなければならない。他人に自分のパスワードを教えたり、他人のパスワードを知ろうとしてはならない
  3. 禁止事項について
    (1)公序良俗、法令に違反する行為を目的とした利用
    (2)犯罪行為に結び付く利用
    (3)他人の知的所有権や著作権を侵害する行為
    (4)他人の財産やプライバシーを侵害する行為
    (5)他人に不利益を与える行為
    (6)他人を誹謗中傷する行為
    (7)安芸高校ネットワーク管理業務を妨げる行為
    (8)安芸高校ネットワーク及びインターネットシステムの破壊行為
    (9)私有パソコンを校内のネットワークに接続するような行為
    (10)教職員の指導の下にある場合など、特に認められた場合を除いて、他のホームルームのパソコンを無断で使用する行為
  4. 利用の停止及びアカウントの抹消について 利用規程に違反した場合、生徒指導委員会で扱いを検討し、職員会議で決定された内容に基づき次のいずれかの指導を行う
    (1)一定の期間ネットワークの利用を禁止する
    (2)アカウントを抹消し、以後のネットワーク利用を禁止する
    (3)生徒指導の対象とする
  5. 個人情報について
    (1)ネットワーク上に自宅住所や自宅電話番号を記載してはいけない
    (2)個人を特定できる情報の公開については、特に本人、保護者、学校長の承認を必要とする
    (3)ネットワーク上でトラブルが生じたり、不審な電子メールが届いた場合には、直ちに保護者と教職員に連絡する
    (4)電子メールには、自分の署名(signature)を入れる
    (5)相手からの個人的な電子メールを、送信者本人の承諾なしに公開してはならない
    (6)個人的な電子メールであっても、他人がその電子メールを読んだり、入手したりすることは皆無とは言えない。従って、公表されたくない内容を送ったり、むやみにハードディスクへ保存したりせず、各人が責任を持って管理する
  6. 教室のパソコンについて
    (1)原則として生徒は自分のホームルームのパソコンを使用する
    (2)原則として各ホームルームの視聴覚委員を教室のパソコン係とする
    (3)パソコン係の仕事の内容は次の通りとする
    • パソコン係が登校したときパソコンに電源が入ってない場合、直ちに電源を入れネットワークに接続する
    • パソコン係が下校するとき、誰も使用していない状態でパソコンの電源が入っている場合、直ちにネットワークから切断し、正規の方法で終了させる
    • パソコン係は伝達委員と協力し合い、毎日、放課後前に行われるSHRの前にクラスのパソコンで電子掲示板を確認し、連絡事項がある場合はその内容をクラス全体に伝達する
    • パソコンやプリンターが故障したりネットワークに接続できなくなった場合、直ちに担当教員まで連絡する
    • 必要に応じて、プリンターの用紙やインクの補給及び交換をする
    • パソコン係はパソコン操作を身に付け、必要に応じて操作方法や知識をクラス内で伝える
  7. その他
    (1)コンピュータウイルスの伝染を防ぐため、特に他のシステムからファイルを受け取ったり、ダウンロードするときには、定期的にそして頻繁に自分のシステムのウイルス点検をする
    (2)ダウンロードしたファイルは、自分自身のフロッピーディスクに保存する。また、何らかの疑いがあるファイルはコピーしない
    (3)ハードディスクにプライベートな内容を残さない

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