VIEW21 2001.12  英語教育の新機軸

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英語力の礎になる体験

 英語を用いて自分を表現することの楽しさや、異文化を理解することの大切さを中学校で学んだ生徒たちは、高校ではより高度な英語力を身に付けていく。
 「高校では、文法の知識やリーディング、ライティングの力などコミュニケーションのための実践的スキルを向上させることに重点が置かれます。伝える内容が豊かになると、英語力もより高いものが求められますからね。しかも、正確な英語でないと微妙なニュアンスが伝わらない。生徒もそれが分かっているので、授業には一生懸命取り組みます」(高校英語担当・山本美鈴先生)
 同校では、高校での取り組みの成果を、'02年1月から『英語コミュニケーション能力テスト』で測っていくという。「伝えたいことをどの程度伝えられているかがこのテストで判断できます。生徒のモチベーション維持にも使えますね」と山本先生は期待を寄せる。
 また、英語の授業以外で得た経験を、英語学習に活かしているのも特徴の一つだ。同校では民族紛争、環境問題、人種差別など世界的な課題を取り上げ、国際的な視野を育てる授業も行っている。さらに高校2年次にはフィールドワークを行う。場所は沖縄、水俣・長崎、四万十川、奈良・京都の4地域で、行き先は生徒が選択する。例えば水俣・長崎を訪れた生徒は、水俣病患者から話を聞いたり、環境保全都市として再生した水俣市の取り組みを学ぶ。
 「このような体験を通し、生徒の問題意識はどんどん深まっていきます。英語の授業では、それらを自分の言葉として、英語で表現させるようにしています。表現することが自分の中にあるということは語学を学ぶ上で、とても大切なことだと思います」(山本先生)
 同校では、これらの取り組みがきっかけとなり、将来の目標を発見する生徒も少なくないという。「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を高めながら、英語を通して他者理解、自己理解を深める指導を通じて、同校の生徒は確かな力を身に付けているようだ。


神奈川学園中学校高校
1914年(大正3年)に誕生した「横浜実科女学校」が前身。建学の精神として「判断力」と「生きる力」を養うことを掲げている。4年制大への進学率は70%を超えている。'01年度入試では、東京大、東京外大、東京芸大各1名、早慶上智5名など、計323名が現役合格を果たした。
住所/神奈川県横浜市神奈川区沢渡18 電話/045(311)2961

写真 池田征矢雄 写真 山本美鈴 写真 高橋文恵
神奈川学園中学校高校教頭
池田征矢雄
Ikeda Seyao
教職歴39年。同校に赴任して39年目。「この学校で過ごしたことが、自分の中に良い思い出と、人間らしい力になってずっと残っていく。そんな学校を目指したい」
神奈川学園中学校高校教諭
山本美鈴
Yamamoto Misuzu
教職歴35年。同校に赴任して35年目。英語科主任。「学ぶ喜びを多くの生徒に味わってほしい。そしてそのことが強く生き抜く力につながってほしい」
神奈川学園中学校高校教諭
高橋文恵
Takahashi Fumie
教職歴12年。同校に赴任して10年目。英語担当。「生徒には、『他人と違ってていい、違うからこそ面白い』ということを伝えていきたい」

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