VIEW21 2002.2  今日と明日の活力をもたらす創意工夫
 学校活性のヒント 徳島県立脇町高校

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徳島県立脇町高校

「担任会」を中心に
導入期からのきめ細かな指導を実現

 高校3年間の指導ストーリーを考える上で、特に重要な意義を持つのが高校生活導入期の指導である。中でも、新入生の学習状況を早期に把握し、高校生としての学びのスタイルを身に付けさせることの重要性は、多くの教師が認めている。
 徳島県立脇町高校では、従来より導入期の指導を重視した取り組みを行ってきた。入学式直後に学力テストを行い、新入生の学力把握に努めると共に、入学式の翌日には早くも各クラス担任が生徒との個人面談を開始して、生徒の性格や進路希望を把握するよう留意している。
 「生徒一人ひとりの性格や学力をできるだけ早い段階で把握しておくことは、以後の指導においても非常に大切なことなのです」と、同校の岡田善史先生は、導入期の取り組みの意義を強調する。

個人面談での意識改革

 しかし、入学して間もない生徒から生活スタイルや学習習慣について十分な情報を得ることは容易ではない。そこで同校では、入学したその週に「スタディーサポート」を実施し、新入生の実態把握に活用している。1年生のクラス担任をしている宮本明浩先生は、「スタディーサポート」を実施する意義を次のように語る。
 「入学直後の時期は、生徒もまだ学校に馴染んでおらず、最初の面談でもなかなかうまく生徒から話を引き出すことができません。学力のみならず、学習習慣や生活習慣も見ることのできる『スタディーサポート』の実施によって、そのギャップを埋めることができます」
 一方、「『スタディーサポート』と個人面談をリンクさせ、生徒の自ら学ぶ意欲を引き出したい」と語るのは、武田伊織先生だ。
 「本校の生徒の多くは、家族や教師の期待に応えようという気持ちを非常に強く持っている、真面目な生徒たちです。実際、中学校までは、周囲の期待をモチベーションにして勉強してきたという面もあるでしょう。しかし、格段に授業が難しくなる高校で、学習意欲を持続させるためには、自分の将来設計に向けて、自ら進んで学ぶ気持ちを養うことが不可欠です。私は『スタディーサポート』をきっかけに、そうした意欲の掘り起こしを図りたいと考えています」
 そこで、武田先生は、生徒に「診断結果」を返す際に一工夫している。まず、教師からは何もコメントを付けず、生徒に自分の成績を分析させる。そして、その後で初めて面談を行うのだ。
 「本校の生徒なら、自分が勉強のどこで手を抜いてきたかくらいはある程度自覚しています。しかし、しっかりとした『診断結果』の形でそれを認識させられる経験というのは、なんとなく自分の弱点を知っているのとは全く異質なことなのです。その自覚を生徒が持った後に面談を行ってこそ、教師の指導が活きるのです」
 面談の際には、『診断結果』に加え、生徒が毎日の勉強時間や睡眠時間を書き込んでいる「生活の記録」という同校独自の小冊子も活用される。「スタディーサポート」のデータで明らかになった学習方法の問題点と、日々の勉強時間を対照し、本当に必要とされている学習は何なのか、生徒と共に具体的な処方箋を考えるのだ。

 
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