VIEW21 2002.2  点から線の教育へ 中・高・大接続の深化形

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高校で求められるのは個々の将来を見据えた取り組み

 では、「生きる力」を育てるためには、実際どのような「総合学習」を計画し、実行すればよいのだろうか? 田中助教授は3つのEを「総合学習」の活動に組み込み、多様な活動のバランスを取ることが重要だと指摘する。
 3つのEとは探究(Explore)・交流(Exchange)・表現(Express)であり、この3つのEを基に、具体的な19の学習活動を挙げ、それに「振り返り活動(Evaluate)」を20番目の項目として加えている(表3)。
 「高校には、小・中学校で体験した学習を深化させ、将来の進路と結び付けていくような取り組みを期待しています。例えば、『環境教育』です。将来、研究者になりたいのなら、一つのテーマについて調べて発表する活動を取り入れればいいし、ボランティアに興味があるなら、地域のリサイクル活動などに積極的に参加して、どんどん環境保護活動を体験すればいい。将来何になりたいのか、どんな学問を学びたいのかによって、個々の生徒が取り組む中身が違う。高校では、そのような『総合学習』の形が求められると思います」
 田中助教授は、「生きる力」を「21世紀の社会で生きるために不可欠な力」だと定義している。「今後は、大学入試も『総合学習』で身に付けた『生きる力』を評価に含めるようなシステムに変えていくべきだと考えています。AO入試などは増える傾向にあるものの、まだ『生きる力』を入試で評価する機会は限られています。しかし、『生きる力』は21世紀の社会で活躍するためには欠かせない力です。大学入試での結果にすぐ反映されないとしても生徒の将来の貯金として『生きる力』を育成してほしいと思います」

 '03年度に向けて、各高校が『総合学習』をどのように位置付け、実施していくのかは、その学校のスクールアイデンティティに直結するテーマであるようだ。

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