VIEW21 2002.6  点から線の教育へ 中・高・大接続の深化形

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生徒を学習へと向かわせる取り組みを
節目ごとに実施する

 宮崎西高校の「学習方法体験講習会」は、生徒に予習の仕方、授業の受け方を具体的に身に付けさせるための実践的な取り組みであるが、3年前から全く同じ内容で実施しているわけではない。
 「初年度は1学期に5教科の講習会を4日間実施しました。ところが、5教科すべての予習の仕方を一度に指導すると、生徒は受け止めきれずにかえって混乱してしまったのです。また、2学期になった頃には、中だるみも見られるようになりました。そこで、2年目からは、まず1学期に主要3教科の指導を徹底し、9月の学園祭が終わった直後に再度期間を設けて、5教科の指導を行うように変えたのです。教科の優先順位を付け、段階的に実施するように改善したことで、定着度はぐんと高まりました」(土持先生)
 学習オリエンテーションや学習合宿を行っている多くの高校が抱えている課題として、行事自体は成功しても、それが日常での学習習慣の定着になかなかつながっていかないということがある。同校では、取り組みを単なるイベントに終わらせないための工夫として、1年次の2学期、そして2年次の1学期と2学期、3年次の1学期にも継続して体験講習会を実施している。土持先生は「節目ごとに生徒を学習へと向かわせる取り組みをこまめに行うことが大事」と言う。
 1、2年生に対しては年2回の「学習方法体験講習会」以外にも、夏休みには2泊3日の学習合宿を行っている。体験講習会が学習方法を身に付けることに力点を置いたものであるのに対し、学習合宿では量をこなすことを重視している。そのため学校を離れて宿泊施設に泊まり込み、1日10〜11時間も勉強に没頭する。3学期には外部講師を招いて、PTA主催の勉強会も開いている。
 こうしたきめ細かな学習指導の成果が端的に現れているのが家庭学習時間だ。減少傾向だった家庭学習時間は徐々に増加し、1日の平均学習時間が普通科1年生では3時間10分、理数科では5時間、全体平均で3時間30分にまでなった(資料2)。
 だが土持先生は、今の取り組みだけでは決して十分ではないと言う。
 「体験講習会の内容をより効果的なものにする必要があります。例えば、昨年で研究期間の終了した小中高連携の取り組みについても、中学校との連携を独自に継続していくことで、新課程での中学生の実態を引き続き把握していき、それを講習会の内容にも生かしていきたいですね
 同校では、入学してくる生徒の実態に合うように、常に改良を加えながら、「学習方法体験講習会」を展開することで、今後も新入生を円滑に高校教育に適応させていきたいと考えている。

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