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進化した自動車が近未来のクルマ社会を変える
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交通社会の在り方を根本から変えるITSプロジェクト
 自動車産業は、日本の基幹産業として、日本経済の発展や人々の豊かな暮らしを支えてきた。草創期、30年以上はあると言われた外国企業との技術格差を跳ね返し、1980年代には世界を席巻。世界的な「日本車ブーム」を巻き起こすまでになった。もちろん現在でも、その高度な技術開発力は衰えることなく、常に世界の注目を集めている。
 しかし、人々の生活と密接にかかわる産業だけに解決すべき課題が多いことも事実だ。環境問題、交通渋滞、交通事故――。自動車業界だけに責任があるとは言えないものの、これらの諸問題が人々の快適な生活や経済発展の阻害要因になることも確かである。
 ITS(※1)は、クルマや交通にかかわる問題を解決するために、政府と産業界が共同で取り組んでいるプロジェクトである。96年に運輸省(現・国土交通省)及び他の各省庁によりITS推進に関する全体構想が策定され、現在、15年頃までを見据えた研究開発計画が定められている(図1)。
※1 Intelligent Transport Systems − 高度交通システム
図1
 その究極の目的は「交通の円滑化」を図ること。
 交通の要素である道路、クルマ、歩行者を情報ネットワークによって結び、車両や歩行者を適正に誘導する。それにより、輸送の効率化や運転の安全性を向上させると共に交通事故を減らす。また、無駄に停車している時間が少なくなれば車の燃費も向上し、それだけ環境への負荷も減少する。これがITSの基本的な考え方だ。
 例えば、ドライバーには交通渋滞や交通規制などの情報の他、路面が滑りやすくなっていないか、霧で視界が悪くなっていないかなどの走行環境に関する情報が送られる。歩行者には携帯端末から経路情報を伝え、目的地まで誘導する。
 一方、道路は、信号を制御してクルマを空いている道路に誘導したり、歩行者用信号の点灯時間を延長したりする(図2)。情報通信技術の発達が、このような交通社会を実現させようとしているのである。
図2
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