ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
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「書くこと」で成功イメージを高める
――一方で先生は、態度教育に加え、目標設定の大切さを説いておられますね。
 私の指導では、次の五つを繰り返します。Plan(目標設定)→Check(態度教育)→Do(できることの継続)→See(結果の考察)→Share(ノウハウの蓄積と共有)です(注※)。これは天理大の講義でも必ず教えています。
※「心づくりの指導」サイクルの詳細は、原田先生の著書「カリスマ体育教師の常勝教育」(日経BP社)を参照。
 陸上競技の指導経験から分かるのですが、一番と二番の差は何かというと、それはイメージの差です。人間はイメージがわかないことはできない。日本一を目指すときに絶対に必要なことは「必ず優勝する」とはっきり目標を定めることです。何かをしていて気付いたら日本一になっていた、ということはありません。私自身、松虫中学校に赴任した年、「三年後、松虫の陸上部を日本一にできなかったら教師を辞める」と公言して、実際にそれを達成しました。
 どこに行くのかという目標と、なぜ目標に向かうのかを明確にしないまま、やみくもに頑張るだけでは、どこにもたどり着けません。
――成功のイメージを高める具体的な方法はあるのでしょうか。
 「書くこと」です。書くことで具体的な成功のイメージを描かせる。なぜ、書くことが大切なのかというと、文字が思考そのものだからです。書き物を提出させて添削して返すことで、意識の出し入れをさせて、正しい方向に導くことができる。だから書き物にこだわらなくてはいけないのです。
 天理大の学生にも、全員に「長期目標設定用紙」というものを書かせています。
長期目標設定用紙
これは松虫中学校時代もしていましたし、企業の人材育成やプロスポーツ選手のメンタルトレーニングでも書いてもらっています。さらに、中学校時代には日誌指導によって長期目標設定用紙通りの活動ができているかどうかの検証もしていました。
 長期目標設定用紙にしても日誌にしても、初期の頃はできるだけ詳細に、具体的に書けるように、一人ひとりに添削指導をする必要があります。そうやって根気強く指導を続けると、確実に書く文字数は増えていきます。文字数が増えれば目標に対するイメージがより鮮明になるので成功につながりやすいのです。
 もっとも、添削指導はすべて一人の教師がする必要はありません。最初に、何人かの優秀な生徒に書き方のコツをしっかりと教えて、他の生徒の指導に当たらせれば、効率よく多くの生徒を指導できるようになります。


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