ベネッセ教育総合研究所
特集 自学自習力の育成
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機動力
意思決定力
 学年団の実践力を裏打ちするのが、高崎高校が伝統として持っている教育実践の「機動力」である。前項で、学年団が日常会話から出たアイディアを即実践に移す点をみたが、アイディアを生徒指導に具体的に落とし込む際には、随時目的に沿った学年小委員会を設置し実践会議を繰り広げる。また、入学当初の「合宿オリエンテーション」や「総合的な学習の時間」で毎年実施している「ボランティア体験学習」「企業・研究所・大学訪問研修旅行」などの取り組みについても、年度ごとに自薦方式で担当者を割り振り、組織の活性化を図っている。
 「本校では、形だけの組織を形式的に構築しようとは思っていません。規定の組織を構築してしまうと、かえって狭量な価値観に捕らわれ組織が硬直化してしまいます。必要に応じて組織を設置・解散することは組織の機動力や活性化を確保する上で重要なのです」(関根正史先生)
 こうした機動力は、学年団に限らず、同校全体が伝統的に持っている大きな特徴でもある。実際、新課程への移行を視野に入れて設置された高高将来構想委員会(コラム参照)も、新課程の基本構想確立後、速やかに解散した。
 03年、進路部内に設置された「学力向上委員会」も、同校の機動力が生んだ組織の一つである。新課程1年生の学力や気質などの傾向を捉え、具体的な指導案を策定するのが目的だ。同委員会の運営を担当する天野正明先生は次のように述べる。
 「どのように生徒が変わってきているのかということは、授業の中で把握していくしかありません。そこで、03年4月から約半年間掛けて、具体的にどこが変わったのかという情報を各教科担当が収集し、それを基に次の半年間で具体的な対策を教科ごとに考えるという形で新課程生対策を打ち出すことにしたのです」
 委員会自体の会議は1年間で計5回と少ないが、その間、教科ごとに情報収集とその把握、改善案の策定の話し合いを行う。委員会は各教科の意見を集約し、それを再びフィードバックしていく役割を持つ。委員会と学年の連携が、取り組みの成否を決めるのだ。
 「多くの教師が問題意識を共有し、解決に向けた話し合いが持てたことは、本委員会の大きな成果です。また本校では、各学年からの報告や学習・進路指導の動向は進路部会議で掌握していますが、機動的に動ける学力向上委員会を設置したことで、新課程生に絞った対策が速やかに策定できたと思います」(天野先生)
高高将来構想委員会(TFC)


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