ベネッセ教育総合研究所
特集 広報が学校を活性化する
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生徒の参加がやる気と誇りを引き出す
――実際に学校が地域に対して広報活動をする際、生徒を積極的に関わらせることも多いようです。生徒が参加することで生徒自身が得られるメリットも大きいようですね。
 先程少し触れましたが、一つには高校で学ぶ先輩の姿を一つの「成功モデル」として紹介することで、中学生やその保護者に「自分たちの将来像」をイメージしてもらうことができます。教育は「その気にさせる」ことが大切で、そのためには年齢の離れた教師が100のことを言うよりも、身近な先輩をモデルとして示し、憧れをかき立てる方がはるかに効果があるんです。
 生徒にとってのメリットも見逃せません。例えば、WEBページや学校案内、広報誌などの作成を生徒に任せれば「自分はこういう情報が欲しかった」といった受験生の立場に立った情報の取捨選択・発信ができるだけでなく、生徒自身のプレゼン技術やパソコン技量の向上も見込めます。グループワークとして総合学習に活用することもできるでしょう。
 また、学校説明会などで積極的に外部の人たちと接触する機会をつくることにも意味があります。欧米では、我々のような教育関係者が学校訪問に行くと、生徒が案内役をしてくれる場合が少なくありません。それによって1、2コマ分の授業が受けられなくなることもありますが、それ以上に学校の代表として選ばれた誇りや、普段会えない人と接することで得られる発見が、大きなプラスになるからです。生徒が力を発揮する場をつくることで、教師の負荷を減らすと共に、生徒の成長を促すことが期待できるのです。
――公立高校の間でも広報活動に関する意識は以前より高くなっているものの、高校全体で見れば、まだまだ小さな動きにすぎないように思います。
 広報活動を単に「学校の宣伝」と考えて忌避するのではなく、学校の教育力を上げると共に、機会をうまく利用することで生徒の育成にもつながるという風に前向きに捉えることが大切です。 
 広報活動に伴う自己診断や目標設定を通して教師同士がコミュニケーションを取り合うことで、自然と教師間の目線も同じ方向に向いていきます。今、自校には何が必要なのか、何が求められているのかを考え、実行することが、ひいては学校の活性化、特色づくりにつながるのです。
 こうした高校がたくさん出てきて刺激し合うことで、高校教育全体が活気付いてくるのではないでしょうか。
高校における広報活動のポイント


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