ベネッセ教育総合研究所
特集 広報が学校を活性化する
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情報開示を前提とした学校評価の実施
 同校の活動の第一に挙げられるのが、年間を通じた学校評価の実施である。学校評価と言うと「自己点検のための取り組み」というイメージが強いが、本来それは、情報開示機能をも併せ持つものである。実際、同校の学校評価表を示した(図2)が「第三者に公開する」ことを強く意識したフォームになっていることが見て取れる。特に、各分掌の年次目標が極力数値目標化されていることは注目に値しよう。
図2
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 「『学校の教育活動に数値目標の設定は馴染まない』という意見があるのも事実です。しかし、抽象的な表現でいくら高邁な理想を語っても、地域の方々や保護者、生徒に学校の活動が実感として伝わらなくては意味がありません。各分掌に繰り返しその意義を説明し、可能な限り教育活動の数値化に取り組んでいただきました」(佐藤校長)
 特に議論が白熱したポイントの一つが地域の注目が集まる進学実績に関わる目標設定である。
 「東京大○名、東北大□名といった形では、あまりにも露骨過ぎますし、『東高は一部の国立大への進学しか支援してくれないのだろうか』という誤解を招きかねません。そこで、一人ひとりの進路実現を支援するという本校の理念に照らし、センター試験の得点率や、3年次の第一志望の達成率を基にした目標を設定しました」(山口先生)
 また、他の欄に目を転じてみても、部活動については「インターハイ、全国大会出場で団体1種目以上、個人種目4名以上を目指す」、そして、情報開示に関わる活動についても「中学校との連絡協議会の開催」「学校説明会に600名以上の参加を目指す」といった目標が掲げられている。「進学指導一辺倒の学校」というイメージの払拭を図るのはもちろん、具体的な数値目標の実現に向け、学校が努力しようとしていることが端的に分かるようになっている。
 一方、学校評価表を公開する場としては、毎年4月に実施されるPTA総会が設定されている。だが、年に1回という限定された機会では「年間を通じた情報提供」という本来の目的を達成することは難しい。この点については、オフィシャルな機会とは別に、管理職自らが執筆する「山東通信」という学校通信を使った評価結果の開示も行っている(図1)。
図1
管理職の直接執筆という珍しいスタイルの「山東通信」は、学校経営全体に関わるような情報をタイムリーに発信している。学校評価の情報も開示することで、少ない開示機会をカバーする狙いもある。
 「『山東通信』は『学級通信』や『進路便り』とは別に、教頭が職務の一つとして執筆するA4裏表程度のプリントです。大きな学校行事のレポートや進学実績、部活動の年間成績など、学校経営全体に関わるような情報を発信するのがその目的です。配付対象は、保護者、生徒、同窓生にまで及びますから、『学校のサポーター』を獲得する点において、学校評価の開示は大きな役割を果たしていると思います」(高野昌二教頭)
 『山東通信』以外にも、学校評価の最終結果は学校評議委員会等でも公開されている。また、次年度に向けては更に広範な対象への情報開示を行うべく、Web上での公開も検討中だ。


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