ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 保護者向けシラバスの作成に向けて
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2 指導プランを踏まえてメッセージを発信
 同校のシラバスでは、保護者が生徒と接する際の目標を1か月ごとに提示している。例えば、1年次の4月であれば「親子で語り合うチャンス」、7月であれば「学力試験の全国大会」という目標が掲げられる。もちろん、各月の目標は、学校側の指導ストーリーを踏まえたものとなっており、その内容も、生徒向けに別途配付する「『生活・進路』シラバス」と整合性を取りつつ決定された。
 また、目標達成に向けた具体的な行動指針である「保護者にお願いしたいこと」欄は、できるだけ具体的な記述となるよう留意されている(参照)。子どもとの会話の内容、更には、体調管理をどのようにすべきかといったレベルにまで記載内容が踏み込まれているのだ。「少子化の影響などもあって、保護者自身が子どもへの接し方を経験から学ぷ機会が少なくなっています。保護者にどのようなことを行ってほしいのか、学年ごとにふさわしい項目を学年団全員で考え、できるだけ具体的に示すようにしました」(那須雅博先生)
図
宮崎南高校のシラバスの詳細(1年生4月分のみ)はこちらを参照(PDFファイル)
 
3 継続的な情報発信を行い「配りっ放し」を防止する
 シラバスを配りっ放しで終わらせないよう、同校ではシラバスの配付時期を、4月に実施する最初のクラス懇談会に設定している。高い出席率が見込まれる上、シラバスを示しながら担任が説明を行うことができるからだ。また、03年に原案を作成したのは西教頭であるが、現在では学年主任を中心に各学年がシラバスの作成・運用を行う体制が整った。「すべての担任が関わるので参加意識を持ちやすいですし、生徒と日常的に接している教師が内容を出し合い、具体的に検討することで、より実情に即したシラバスが作成できる」(磯野和弘先生)のがその狙いだ。
 年度当初からの運用は今年が初めてだが、同校ではクラス懇談会やPTA総会などを利用して、随時シラバスに基づく情報発信を続けていく予定だという。
 このような工夫を施すことで、同校では保護者シラバスを核にした情報発信が体系化されつつある。「教師が互いの指導スタンスを確認し合えた」(那須先生)、「学級通信の発行時期・内容をシラバスと合わせるケースも出てきている」(磯野先生)といった成果も見え始めている。保護者への発信からスタートした同校の取り組みは、指導の体系化に向けて動き出しつつあるようだ。
 


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