ベネッセ教育総合研究所
特集 学力多層化への対応
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学力層に応じた指導方法が必要
 こうした学力の多層化が、高校の指導を難しくしていることは想像に難くない。
 図4は、学力層別の課題を分析する手法の一例として、ある学校のデータを示したものだ。
図4
これは、英語について「学力層別の習慣・意識の違い」を調査したものだが、当然ながら上位層と下位層では学習に対する意識に違いが見られる。下位層については「学習方法が分からない」が1年次の重要課題であり、その結果として、受験を意識した学習を本格的にスタートさせる3年次になっても「真面目にやっているのに成績が伸びない」傾向が見られる。これは前述のように、初期の段階において学習方法を身に付けないまま3年次に進行してしまったことに原因があるのだろう。また、上位層の課題は「学習が計画通りに行かない」で、これは3年間を通してほぼ一貫して見られる傾向のようだ。
 このように、各学力層それぞれに異なる課題がある。下位層については初期指導を徹底させ底上げを図る、上位層については計画の立て方のポイントを伝えるなど、各層に応じた指導の必要性が考えられる。
 こうした課題分析は、従前から高校現場で多くの教師が行ってきたことであり、一斉授業を前提としながらも学力層別の対策は様々に講じられてきた。しかし、有効な指導方法を見いだせない高校も少なくないと思われる。
 学習習慣未定着の生徒の増大、その結果としての学力分布の拡大という課題に直面している高校がどのような取り組みを行っているのか。次項より事例を通して見ていきたい。


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