ベネッセ教育総合研究所
特集 学力多層化への対応
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生徒の活力を引き出すための4つの取り組み
 生徒の活力を引き出すことで、自律的な学習行動を促し、生徒が自らの自己実現に向けて高い目標を持つようになる。では、生徒の活力を引き出すために、同校ではどのような点に注力しているのであろうか。それには次の4点が挙げられる(図1)。
図1
 一つ目は「初期指導」である。同校では新入生に対して学習面の実態調査を行っているが、学習の習慣化ができていない生徒が増えており、3年間の高校生活を有意義に過ごすための基礎づくりとして「学びのしつけ」「学習習慣のしつけ」を重視しているのだ。
 二つ目は「授業第一主義」である。全ての学習活動の基本となるのはあくまで学校の授業であり、その効果を最大限に引き出すために、同校では定期考査の他に学校独自の校内実力テストである「実力養成考査(1・2年次)」と「実力考査(3年次)」を定期的に実施している。
 三つ目は「進路指導」である。生徒が自分の夢や実力に応じてどのような進路を設定するのか、学年全体で全生徒の学力データや志望校データを共有し、適切に指導をしていく。中でも、3年次の部活動引退後に行われる「大学入試研究会」は、生徒のモチベーションアップ、教師の指導力向上の両面に効果を発揮している取り組みと言える。
 四つ目は「学年担任組織」を軸に、様々な活動を展開している点だ。初期指導や進路指導などを行う中で、教師間の情報共有は欠かせない。「担任会」を中心として常に情報を共有し、臨機応変に組織的な対応をすることが、生徒の活力を引き出す要因の一つになっているのである。
 「上位層から下位層まで、全ての生徒に対して最後まで引き上げる努力を続けるということが指導の大前提です。『落ちこぼれ』や『浮きこぼれ』をつくらないようにするには、学校全体で地道な取り組みを着実にこなしていくことが大切なのです」(水野先生)
 それでは次項から、以上の4点について具体的に見てみたい。


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