ベネッセ教育総合研究所
特集 学力多層化への対応
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2 授業第一主義
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・授業を核とした学習習慣
・実力養成考査の活用
 授業第一主義は同校の学習指導の根幹をなす理念だ。1学年主任の川島洋先生は次のように述べる。
 「学校の授業は学習活動の中心になるものです。そのため、生徒はきちんと予習をして授業に臨み、授業でその確認をし、更に復習をして定着を図らなくてはなりません。こうした自律的な学びのサイクルに生徒を乗せるために、『生活の記録』で日々の学習活動を把握したり、『実力養成考査』で定期的に生徒一人ひとりの学力の伸びをチェックしているのです」
 実力養成考査は、定期考査と共に同校の授業第一主義を支える最重要ツールの一つだ。これは、同校独自の校内実力テストで1年次は年4回、2年次は年5回実施。3年次は特に範囲を指定しない「実力考査」として年4回実施している(図3)。
図3
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生徒が自分自身で教科内容の理解度を確認し、自学自習に結び付けていくと同時に、教師が学年全体及び一人ひとりの生徒の学力レベルを把握し、進路指導や学習指導のための検討材料として活用している。
 通常、校内実力テストと言えば、実施はしているが形骸化していたり、その結果をうまく進路・学習指導に生かしきれていなかったりする例も見られるが、同校では、生徒の学力把握や進路指導のデータなど、実力養成考査や実力考査の偏差値を様々な指導の中心に据えている。  
 「実力養成考査と実力考査の大きな特徴の一つは、通常の実力テストのように、教師がワープロや手書きで作成するのではなく、外部の印刷会社に委託して、あたかも校外模試のように印刷する点にあります。教師も印刷されると思うとより緊張感がみなぎって、良い意味でのプレッシャーが良質の作問につながっていくのだと思います。また、一生懸命問題を作っている先生方の熱意は、問題を通して生徒にも伝わっていきますからね」(水野先生)
 実力養成考査によって出てきた成績データは、今後の指導方針の重要な指標となる。教科によっては、成績の振るわなかった生徒に対して再度学習に当たらせるなど、機動的なケアを施すことで下位層の広がりを防ぐわけだ。更に、担任会や学力検討会での重要な分析資料として、進路指導の指針として十二分に活用されている。
 今後の課題は、考査に向けて生徒を自律的・計画的な事前学習に向かわせる方法の確立だ。
 「初期指導を徹底しているとは言え、主体的な学習姿勢を身に付けさせるには時間を要します。そこで、実力養成考査の実施前に、出題範囲の中から課題を何回かに分けて提出させるといったことにも取り組んでいます。自学自習の態度を養うという実力養成考査の主旨を、もっと生徒に浸透させる必要を感じていますね」(水野先生)


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