ベネッセ教育総合研究所
特集 進路学習の深化を探る
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広げる活動と決める活動とが両立した進路指導
 以上のような指導を受けて、同校の生徒たちは、進路への視野を「広げる」と同時に希望を「絞る」という困難な課題を乗り越えていく。また、やむを得ず志望変更する場合にも、以前と比べると生徒たちの姿勢が変わってきたという。
 「2年次の取り組みを通じて、生徒も自分が興味を持てそうなテーマの本質的な幅広さを認識できるようになっています。センター試験の結果を受けて受験直前に志望変更を決断する場合にも、納得感のある第2志望を見つけられる生徒が増えたと思います」
 長谷川先生は、そんな同校の進路指導の今後について、次のように語ってくれた。
 「遠回りさせたり、足踏みをさせたりすることの多い本校の進路学習のスタイルは、一見効率が悪いように見えるかも知れません。しかし、だからといって、進路学習の目標を、卒業後の希望進路の効率的かつ早期の決定に求めすぎると、『丁稚の進路教育』に陥ってしまうのではないでしょうか。たとえ時間や手間をかけても、生徒一人ひとりが本当に納得できるような進路の考え方や方法を伝えるステップを踏むことを私たちは、今後も大切にしていきたいと思います」
 多くの学校が課題としている「進路観を広げる活動」と「進路を決める活動」の両立。全体に向けた活動と担任が個をケアする活動の両立を図ることで、その壁を乗り越えつつある同校の取り組みには、他校にとっても参考になる部分が多いのではないだろうか。
図
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上図のように、3年間に渡って進路観を「広げる」活動と進路を「絞り込む」活動を並行して行うのが同校の特色である。また、進路観を広げる活動は主として学校の一斉指導で行い、絞り込みについては生徒の自主的な活動で行っている。


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