ベネッセ教育総合研究所
特集 学校組織の機能活性化
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「指導と評価の一体化」を検証する part1

 島原高校の特徴の一つは、指導体制を整備すると共に指導計画の体系化を図り、取り組みを進める時期や内容、取り組みごとの教師の役割を明確にしている点にある。
 本項では、導入期指導を例に、取り組みを硬直化することなくブラッシュアップさせるための視点、手法について考察する。


「導入期指導」を体系化し精緻な指導計画を構築
 島原高校では93年から、他校に先駆けて体系的な導入期指導の体制を構築し実績を上げてきた。「早く歩き始めた人は遠くまで歩ける」という考えに基づき、教師間で意思統一をして、生徒にいつまでにどういうことを身に付けさせるのかを体系化していった。
 導入期の指導計画は図2の通りだ。「品位ある生活態度の育成」「通学時のマナーと清掃活動の徹底」など7つの目標を提示。それぞれに実施時期や担当分掌の他、10項目前後の指導指針を細かく設定するなど、完成度の高い精緻な指導マニュアルとなっている。
 マニュアルを作成するに当たっては、まず校長が生徒の実情に応じて7つの目標を設定(図2A)。更に目標一つひとつに対して、「『家庭学習習慣の形成』は教務部が担当する」など、内容に応じて各分掌が具体的な指導方法や評価の観点を決めていった図2B図2C。進路指導主事の橋本豪先生は、マニュアルの意義を次のように述べる。
 「指導方法の具体化や評価については、『それまでやってきたことをまとめる』という観点で行いました。ですから、マニュアルを作ったといっても、それ以前の導入期指導から内容自体が大きく変わったわけではないんです。しかし、暗黙知として実践していたことを明文化することで、明確な基準を共有することができ、取り組みの精度を更に向上させることができました。教師の異動サイクル短期化に対応するためのノウハウ蓄積もできるのです」
 つまり、経験の浅い教師にとっての「手引き書」になるばかりでなく、取り組みの効果を検証し次年度の施策に生かすための校内の「評価基準」としての機能をも有しているのである。


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