ベネッセ教育総合研究所
特集 学校組織の機能活性化
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部活顧問の協力をいかにして引き出すか
 学習と部活動の両立は進学校共通の課題だが、実際、学校生活の中で部活動をどう位置付けるのか、頭を痛めている学校も少なくないだろう。島原高校が実証データにより教師間のコンセンサスを得ていることは前述の通りだが、実証データの提示は部活動顧問の意識を高める際にも欠かせないという。
 「どんなに部活動に熱心な顧問の先生でも、部員である生徒の学習状況や進路については、気にかけてもらっています。ですから、学力検討会で学習実態調査や模試成績などのデータや情報を示しながら『この生徒は成績が落ち込んでいるので、学習面について激励してください』とお願いすれば、協力してくれる先生は多いんです」(岩橋先生)
 もっとも、そのためには教科の側でも、部活動の支障にならないような配慮が必要だという。例えば、部活動の練習時間は放課後の2時間程度に抑えてもらう代わりに、教科の方でも放課後の補講や追試は原則禁止している。
 更に、島原高校では全国レベルで活躍する部活動の顧問からの協力を引き出すために、次のようなユニークな工夫をしている。
 「全国レベルの運動部顧問の先生は、かねてから国体やインターハイなどの終了後に、視察に訪れていた大学関係者と会って、選手の売り込み等大学とのパイプをつくってくれていました。本校では数年前から、進路指導部が、そのバックアップを行うようにしました。顧問もその姿勢を意気に感じて『自分がやってきたことを学校が分かってくれた』と、率先して教科学習や進路について協力してくれるようになりましたね」(橋本先生)
 更に、全国レベルの部活動の顧問が協力的になってくれたことの副産物として、他の顧問からの協力も引き出しやすくなったという。すべての教師が進路指導に対して高い意識を持つことで、生徒にも文武両道を実践させることができるのかも知れない。
 取り組みの目線合わせになる指導と評価のプロセスの体系化を軸に、学校内の様々な場面で教師の参加意識を高め、マニュアルの実効性を更に高める島原高校。あらゆる教科、分掌が刺激し合うことで、校内組織の機能を強化し続けていくことが可能になるのだろう。


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