ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 シラバス運用の新たな潮流
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1. 読みやすさを重視した誌面構成
 長崎東高校の保護者用シラバスの最大の特徴は、何と言っても「読みやすさ」にある。
 「多くの学校では保護者向けに様々な印刷物を配付していますが、ほとんど読まれていないのが実情ではないでしょうか。本校で保護者用シラバスを作成するに当たって留意した点は、まずは手に取って読んでもらえるものにしようということでした。松尾教頭にデザインはお任せしましたが、すっきりとして読みやすい誌面になったと思っています」(寺田校長)
 実際、図1に見られるように、すべてのページが白いスペースを生かした、シンプルなレイアウトになっている。

図1
クリックすると拡大されます。

 学校の配付物に限らず、伝えたいことが山ほどあるという理由から文字をぎっしり詰め込む印刷物もあるが、長崎東高校の場合は、伝えるべき情報を極力絞り込むことで、読者にとって読みやすく、すっきりとしたデザインを実現した。
 「『仕事から夜の10時に疲れて帰宅してこられた保護者が、寝転がってでも読める本』がコンセプトです。近年は生徒の保護者に共働きが増えつつあります。そういう状況で、文字ばかりの印刷物を渡しても、まず読んではもらえないのではないかと思いました」(松尾教頭)
 もちろん、簡潔なのはレイアウトだけではない。シラバスの中心となる月ごとの生徒の予定についても、それぞれ保護者に留意してもらいたい点が、具体的かつ簡潔に述べられている(図2)
図2
例えば、1月のセンター試験の頃には「あと2年後です。国語、英語、数学I・Aの問題の多くは、1年生でも解答できます。挑戦してみるよう勧めてください」といった調子で、さりげなくアドバイスを与える。
 「共働きが増えていることや、少子化の影響で初めて高校生の子どもを持つ保護者も多いため、保護者の方々は学校の行事などを理解しにくくなっています。また、かつてのように威厳を持って子どもと接している保護者は少なく、子どもと横並びのような関係が多いですから、『学校ではこういうことをするので、ご家庭でもご協力ください』という思いを込めてまとめました」(西田先生)
 更に、誌面の随所にあしらわれたイラストも松尾教頭の手によるものだという。忙しい保護者の立場に立って、まずは手に取ってもらうことを最優先とした誌面構成が心掛けられているのである。


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