ベネッセ教育総合研究所
特集 高大連携の未来形
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高大の「学びの違い」を意識させるPSプログラム
 中央大学商学部の接続教育でまず注目されるのは、推薦・特別入試枠で合格し、入学手続きを行った高3生を対象に実施される「PSプログラム」と呼ばれる取り組みである。これは、合格発表を終えた12月〜3月にかけて、大学側が通信学習教材を用意して高3生に提供するプログラムで、高校の学習内容の確認や英語力、文章作成能力の向上を狙った課題が出される。課題は合計3回出題され、その都度大学教員が添削指導を行う。酒井教授はこの取り組みの狙いを、「高校と大学の学びの違いを意識させること」と語る。
  「高校の先生にヒアリングをした際に、『問題の答えが多様である』大学の学びのスタイルにギャップを感じ、学習意欲を喪失してしまう学生がいることをお聞きしました。そこで、PSプログラムの添削課題では、『答えに至る道筋や、答えそのものが多様である』という大学の学習法や思考法を実感させることを意図しています」
図2
 図2に示したのは04年度に実際に出された課題であるが、いずれも単線的に答えが出るような課題ではないことが分かる。多様な答えを自分の頭を使って考えさせ、その一つひとつを尊重する姿勢を身に付けさせることこそが狙いなのだ。その狙いは添削方針にも徹底されている。
  「予備校の受験指導などでは、例えば『体言止めはしない方がよい』などと教えることがあるようですが、我々はそうした観点での添削は行いません。むしろ、オリジナリティのある文章をどのように作っていくのか、どこを直せばより主張が明確になるのか、という観点から講評します」
  このような添削を複数回繰り返すことで、PSプログラムの受講者は、入学前に高校と大学の学びの違いを段階的に実感できるのだ


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