ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 長崎県立佐世保南高校「学力向上」
PAGE 5/11 前ページ次ページ


「シンプル・イズ・ベスト」で学力を伸ばす
 04年度、佐世保南高校に赴任して1年生を担任することになった植野雅貢先生は、当初はこうした学年会の取り決めに対して、「本当に生徒たちはついて来られるだろうか」といった不安もあったという。だが前述したように7月の模試では、生徒たちの成績は飛躍的に向上した。
  「4月、5月の時期に、生徒を中学生から高校生へと生まれ変わらせること。少々強制的でもこうした指導を教師側が組織内連携の下、きちんと行うことが、学力形成に大きな効果をもたらすことを実感しました」
  佐世保南高校の取り組みについて、宅島先生は「特別なことは何もやっていない。シンプル・イズ・ベスト」と話す。
  家庭学習時間3時間を確保する。与えた課題は確実に提出させる。朝補習の時間を充実したものにする。そして「生徒の学力を保証しなくてはいけない」という強い意識を全教師が持っておくこと。佐世保南高校の生徒の学力伸長は、そうしたシンプル・イズ・ベストの結果だというのだ。
  「04年度に構築した導入期指導のノウハウは、次の1年生の学年会にも引き継がれていきます。こうして、導入期において生徒にきちんと学習習慣を身に付けさせる本校の指導体制が、作り上げられていくわけです。今後の学校としての課題は、3年間の学習計画のビジョンを生徒たちに示すことです。進路指導部が進路シラバスを、各教科が教科シラバスを更に充実させれば、生徒はどの時期にどんな学習をすればいいのかを把握できます。学習習慣を身に付けた生徒が、見通しを持って学習に取り組む。改革は足元から。学習習慣の指導なくして学力向上はありません」(宅島先生)


PAGE 5/11 前ページ次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse