ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT SELHiから英語教育の未来を探る
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ワークシート活用で授業が変わる
 川越高校がSELHiの指定を契機に英語科全員で行うようになった取り組みの一つとして、授業における「ワークシート」(図2)の活用・作成がある。
▼図2 ワークシート例
図2
▲クリックすると拡大します。
 「文法訳読と合わせて、スラッシュリーディング(※4)やペアワークなどを盛り込んだ授業を行う場合、1時間の中でいつ、どのタスクに取り組むのかがあらかじめ計画され、その流れと意義が生徒に伝わる形になっていないと、時間内に取り組むべきことが終えられません。
※4 文節(意味の最小単位)をスラッシュ(/)で区切り、前から後ろへと流れるように文章を読んでいく読み方を指す。
実際に、教科書とワークシートを基に授業を行うことで、様々な活動を盛り込んだ授業を行うことが定着してきました。ワークシート主体の授業になったことで授業前の準備に非常に時間をかける分、授業の中で私たち教師が話す時間・頻度が減り、生徒が活動する場面が増えました。授業を『生徒に教える場』から、『生徒の学びをサポートする場』として捉えるよう、私たちの意識もずいぶん変わったと思います」(城野先生)
  「ワークシートを活用した授業を実践することで、生徒もワークシートを見れば、その日の授業でどんな活動をするのか、見通しを持って授業に臨むことができます。まさに『自立した学習者』の育成という狙いにも合致しています。こうした取り組みは、先生方が独自の授業の工夫の中で、部分的に取り入れてきたものですが、基本的にワークシートを主体に授業を展開するようにしました。実は今、このワークシートを、教師間で共有しようとする動きが進んでいるんです」(近藤先生)
  各教師が作成したワークシートは、教師用のパソコンの共有フォルダに収められ、どの先生も自由に閲覧・活用できるようになっている。他の教師のワークシートを見ることで、「こういうアプローチ法があるのか」と参考にしながら、より質の高いワークシートの作成が効率的に行えるのだ。
  こうした指導をナレッジとして蓄積することで、生徒の英語力にも変化が表れている。例えば「GTEC for STUDENTS」のデータでは、川越高校04年度2年生は、トータルスコア平均を1年次「423」から2年次「524」に伸ばし(※3ページ図1「GTEC for STUDENTS測定結果」参照)、特にリスニング面での成長が顕著だった。寺井啓子教頭は、今後の課題を次のように整理する。
 「SELHiの指定を受けてから、ワークシートに代表されるように、ようやく教師間に情報共有の動きが出てきました。ただし英語の教科の中でも、各科目の活動の連携を意識してシラバスを調整したり、学年やコースを超えて連携する取り組みはこれからの課題です。問題点や成果をすべての先生が共有し、シラバス作成などの様々な教育活動に生かせる状況にしていきたいと考えています」


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