ベネッセ教育総合研究所
SSH指定校レポート
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マクロの評価に終始せず、個人の変遷を追いかける
 SSHの様々な取り組みが、生徒にどのような効果をもたらしているのか、その評価についても広島国泰寺高校では工夫を行っている。
 「初年度、私たちは生徒全体をいかに底上げするかをとても気にしていたと思います。しかしSSHでは、まず資質、意欲を持った生徒を伸ばし、それができて初めて大きな集団全体が伸びていくのではないかと考えるようになったのです。そこで評価も生徒の満足度などの平均を測るものだけでなく、生徒個々の変化を追うものを2年目からは取り入れるようにしたのです」(柞磨先生)
 例えば、講座を受講した直後で、特定のキーワードから次々に言葉を連想させ、それをクモの巣のようにつなげていく「webマップ」を生徒に描かせることで、一人ひとりの知識の量や概念のつながりを分析した。また、生徒の活動意欲がどのように変化するかを調べるため、年間を通して活動意欲が最大に高まった瞬間を10とし、各活動時期の活動意欲の変化を相対的に生徒自身に記入させる「拡張ライン図法」を導入した(図3)。
図表
 「ミクロの視点での評価方法を加えたことで、取り組みの成果や改善点が鮮明に見えてくるようになりました。例えば、人前で発表することが生徒のモチベーションを高めることは私たちにも感覚的には理解できますが、それが数値として客観的に証明されたことで、より確信を持って指導に当たることができます。1〜3学年が共に学ぶ課外活動の理数ゼミなど、グループでの作業の際は、1年生にも、小さくてもよいので役割を与えるなど、こちらの配慮も具体的になります」(千葉先生)
 「コンクールなどの目標があると、生徒のやる気は明らかに高まりますね。SSHでの研究成果を競い合い、発信する活動を通して達成感を実感できる場がもっとあってもいいと思います。行政に特に要望したい支援の一つだと思います」(中吉先生)
写真
自由科学技術研究コンテスト「第2回ジャパン・サイエンス&エンジニアリング・チャレンジ(JSEC2004)」での一コマ。審査員に対して、同校の生徒が研究成果を説明、質疑に答えている。

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