ベネッセ教育総合研究所
高大連携の新たなフォルム
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第2フェーズに入ったSSHの課題とは?
飯塚 理数教育全体の底上げのためには、SSHの実践の成果を、SSH以外の高校へと広める努力が不可欠だと感じます。

山極 確かに、SSH指定校の取り組みを他校がそのまま導入することは難しいでしょう。しかし、生徒の探究心を伸ばす指導法や、高校段階で求められる理数教育のカリキュラム、指導法はどうあるべきかといった研究・実践の成果は、参考にできる部分が大いにあると思います。
 私は今、SSHは第1フェーズが終了して、第2フェーズに入ったところだと捉えています。これまで「点」として行われてきたSSH事業を、「面」として広げていく段階です。いくつかの実践校では実験や課題研究を取り入れた授業の進め方を、公開授業などで周囲に広げる取り組みを行っています。今回の指定校はSSHで得た成果を他校に広めることで、理数教育全体の裾野を広げ、高める、という役割を持たねばなりません。それを更に活発化させるため、地方行政の支援が必要になるでしょう。

飯塚 新たなフェーズで、SSH実践校にはどのような役割が期待されていますか。

山極 一つは国際的な場面で通用する科学技術人材の育成です。韓国や中国、シンガポールなどは、技術者、研究者を育成するために理数科教育に力を注いでいます。日本はこれから人口減社会を迎えるわけで、手をこまぬいていてはやがては量的にも質的にもアジア各国に抜かれてしまいます。
 例えばSSH指定校の中から、英語の教科書を使った授業や英語で研究論文を書かせるといったことを行う学校が出てきてもいい。つまり、英語と化学、物理などの教育実践における融合です。そして海外の高校生との共同研究や共同実験、国際的な科学コンテストなどにも積極的に参加していくわけです。
 もう一つは、高大連携の更なる充実。特に、高校と大学をつなぐカリキュラムや指導法の共同研究・開発です。将来研究者や技術者として活躍できるような人材を育てるため、高校段階、学部段階、大学院段階でそれぞれ身に付けるべき資質やスキルとは何か。そのために高校段階で、どのようなカリキュラムや指導法が必要になってくるのかということを、大学と高校の先生方が共に研究していくのです。
 いずれにせよ、カリキュラム開発も大学との連携も、3年間で完成するようなものではありませんから、自校の実践を深化させるために再度認定校に名乗りを上げてもいい。最初の3年間を踏まえて、次に何を研究課題とするか、明確な狙いを持って取り組んでいただきたいと思います。
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