中学校の現場から 授業スタイル
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

授業スタイル
目的に合わせて指導法を柔軟に組み合わせる

 新入生が、中学校と高校での授業の進め方の違いに、戸惑いを感じているという話はよく聞く。高校の授業は座学の一斉授業が中心だが、中学校では、少人数授業やグループ学習など、授業のスタイルにさまざまな手法や工夫が取り入れられていることが、その要因の一つだろう。

 中学校は、生徒の学力層が高校以上に幅広いため、基礎学力が未定着の生徒に対しては個別に丁寧に教えることが求められ、学力上位層に対しては更に学力を伸ばすことが求められる。生徒の現状に対応するために、多様な指導が必要なのだ。

 今号は、中学校の授業スタイルの実態をリポートする。

主体的に取り組めるように発言や演習の時間に重点

 中学校の教師は、どのような点に留意して授業を進めているのだろうか。

 図1を見ると、「生徒の発言や発表の時間」「机間指導や生徒に個別に対応する時間」「練習や演習の時間」に、特に時間をかけるようにしていることがわかる。生徒が授業に主体的に取り組めるように発表の機会を多く設ける一方、演習を繰り返し行い、生徒の理解度に応じて個別指導をプラスすることで、学力の定着を意識して行っているといえる。

 次に、図2を見てみよう。どのような授業を心がけているのかを教科ごとに聞いてみた。全体的には、「表現活動を取り入れた授業」「自作プリントを使った授業」「グループ活動を取り入れた授業」を特に多くするよう心がけており、図1とほぼ同じ傾向となっている。

図1,2

 しかし、教科別の回答を見ると、教師が意識している点は、教科ごとにかなり異なることがわかる。例えば、社会科の教師が心がけているのは、「自分で調べることを取り入れた授業」と「自作プリントを使った授業」だ。一方、理科の教師は「体験することを取り入れた授業」、次いで「グループ活動を取り入れた授業」をしようと心がけている。また、数学の教師は「計算や漢字等の反復的な練習」「小テストの実施」に力を入れている。

この二つのデータから、中学生は、教科書に沿って進む従来型の授業だけでなく、表現活動やグループ活動など、多様なスタイルの授業を受けていることがわかる。中学校の生徒の学力層は、非常に幅広い。それに対応するため、教師は教科の特性を考えつつ、生徒の実態に合わせて、授業の進め方を工夫している。生徒の主体的な学びを引き出しながら、生徒の理解度を深めたり、知識の定着を図ったりしているといえるだろう。


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