特集 変わる高校入試・中学校の指導

寺井正憲

▲千葉大教育学部教授

寺井正憲

Terai Masanori

徳島大教育学部卒。筑波大大学院博士課程単位取得退学。文教大講師、筑波大附属小学校教諭を経て、現職。専門は国語教育学。

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【インタビュー】

変化する中学校教育

読解力向上の取り組みを全教科で導入する方向へ

「読解力向上プログラム」が始まって1年が経つ。
PISA型の読解力は、小・中学校ではどのように捉えられ、
今後、指導はどのように変化していくのだろうか。
現在の状況と今後の動きを千葉大教育学部の寺井正憲教授にうかがった。

全国学力調査を契機に読解力指導が浸透

  PISA調査の結果が学校現場に与えたインパクトは大きく、PISA型学力への小・中学校の教師の関心は急速に高まっています。特に読解力に関しては、「読解力向上プログラム」の影響もあり、研究会等における「読解力」の分科会の参加者は群を抜いて多く、読解力をテーマとした研修会には定員を上回る申し込みがありました。
 しかし、PISAで評価されている力とは何か、その力を伸ばすためにはどんな指導をすればよいか、と問われると、答えられる教師は少ないのが現状です。なぜなら、PISAの調査は公開されているにもかかわらず、多くの教師がその問題をきちんと見ていないからです。私の実感では、実際に問題を解いてみたことのある教師は4割程度でしょう。関心の高さと認識の低さには大きなギャップがあり、「読解力向上プログラム」が浸透しにくい要因の一つとなっています。
 ターニングポイントとなるのは、おそらく2007年に実施される国による全国学力調査でしょう。PISA型の問題が盛り込まれるため、小・中学校の教師は必然的にPISA型の学力に向き合い、対応を迫られることになります。ここから、PISA型の読解力を育成する指導が本格的に広がっていくと思います。
 文部科学省も学校現場を支援する体制を整えています。「読解力向上プログラム」では、重点戦略として、学習指導要領の見直し、指導事例集の配布、研修会の開催等を挙げています。また、高校入試では、PISA型の出題が見られるようになってきました。中学校では、進学指導のためにも、PISA型学力の育成に力を入れざるをえません。
 このような環境の変化を受け、今後、義務教育の指導が変化していくことが予測されます。


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