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詳細情報
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広島県 広島市立舟入高等学校


■研究開発課題
英語で議論できる効果的な発信能力を育成するためのステップアップ・プログラムの研究開発
■主要指標
1. 『WSAテスト』(スピーキングとライティングによる論証力を測るテスト)を年4回実施。発信の流暢さ・正確さ・内容の適切さを測定する。主要な目標値はスピーキングの流暢さで75wpm。
2. 『学習行動リサーチ』を実施し、指導に基づく学習行動・学習スタイルの変化、及び他の指標との関連を検討する。
■補助指標
1.英検 (2級は全員、準1級は20%)
2.GTEC for STUDENTS (総合評価の600点以上)
3.大学入試センター試験 (得点率8割以上)
■研究内容
1.   ライティングからスピーキングへの移行を図る指導法の研究 (RLWS)

2. スピーキングから議論への移行を図る指導法の研究 (RLWS)

3. 科目間の系統的なつながりの研究と指導評価シラバスの開発


2005年度以前 学校提供資料

■研究テーマ
英語で議論できる効果的な発信能力を育成するためのステップアップ・プログラムの研究開発
■そのテーマを研究しようと考えた背景
本校に入学する生徒は、英語学習について極めて強い興味・関心を持ち、模擬試験及び大学入試においても、その積極性を裏付ける結果を残している。とりわけ「国際コミュニケーションコース」では、9割の生徒が2000語程度の論理的なライティング(書くこと)が可能な程度である。また、「国際コミュニケーションコース」を持つ学校として、「海外への修学旅行及び研修旅行」、「スピーチコンテスト(市内の中学生も参加)」、「国際交流キャンプ」 など「英語」に関する体験行事が充実しており、現在も継続している。そういった中で、「舟入の国際を卒業すれば、どの程度ペラペラになれるのか?」という疑問に焦点をあてる必要があった。生徒の学習意欲と充実した体験行事によって、「ライティング」や「日常的な話題の英会話」では「強み」がある。その一方で、「さらに抽象的な話題に関して即興的に自分の意見を述べることができるか(ペラペラに議論できるか)?」という点が生徒の能力開発についての大きな課題であった。
■当初期待していた成果
授業内のコミュニケーション活動(Q&A、ディベート、ディスカッションなど)が、身近な内容から児童労働、死刑制度、生命倫理などの抽象的な内容に至るまで、すべて英語で行われ、生徒同士で意見を即興的に述べあって議論できること。具体的には賛否両論あるテーマについて、1分間に75語(75WPM)の速さで論理的にかつ正確に(発音・文法)話せること。また、このような活動を通して知識と思考力を培い、総合的に学力を伸ばすことができること。
■対象クラス、生徒人数
普通科・国際コミュニケーションコースの生徒(第1〜3学年)すべてが対象。研究成果を検討しながら、普通科へと普及する。
■指導教員、教員人数
日本人英語教諭13名、AET2名、外国語講師3名(フランス語、中国語、韓国・朝鮮語)
■その他
 
■指導計画

3年間の指導内容を、1年『形成(formation)』、2年『創造(creation)』、3年『加速(acceleration)』というキーワードでまとめ、素早く、正確で、適切な内容の議論ができるように以下の内容を再構成した。
添付資料1『ステップアップ・プログラムと4技能との関係』
添付資料2『ステップアップ・プログラムの概念図』
添付資料3『シラバス(研究対象の科目すべて)
添付資料4 『舟入高等学校SELHi研究開発中間報告会の研究授業指導案』
4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6 4-7 4-8 4-9 4-10 4-11 4-12 4-13

■一連の指導の流れ
3年間の取り組みを通じて、『議論できる英語力』が育つよう、授業内の活動を次のように分類して、インプットからアウトプットへと導いている。

【1時間内の取り組み内容】
『トレーニング型(継続性、訓練的)の活動』・・・音読、暗誦、即興モノログなど。 特に流暢さ(WPM)の向上を要点として毎時間必ず取り組ませる。
『イベント型(一過性、体験的)の活動』・・・コンピュータによる個人インプット学習(広島市立大学と連携)、スピーチ、ライティング、ディベート、ディスカッションなど、習熟段階にあわせて負荷を設定して、期間を限定して取り組ませる。

具体的には、添付資料2 ステップアップ・プログラムの概念図を参照して頂きたい。また、科目ごとの実践は、平成18年度の研究開発実施報告書に掲載の予定。
■成果
『スピーキングの流暢さが向上』−議論するための能力について(添付資料3参照):WSAテストにより、対象生徒のすべてを年4回(4・7・11・1月)測定している。学年ごとの平均値について、本年度4月と11月を比較すると、スピーキングの「流暢さ(WPM)」は3年(93.2←66.3, p<.001)、2年(60.2←57.7, p<.04)、1年(43.0 ←28.8, p<.001)とも確実に向上している。とりわけ3年生は卒業時の目標値75WPMを超えた。また、「適切さ(30点満点)」は3年(14.4点←10.8点, p<.001)で向上、「正確さ(文法エラー率)」は、2年(4%←7%, p<.05)と1年(7%←9%, p<.1)で向上している。その他の有意な変動は示されていない。なお、ライティングの成果と課題は年次報告書に掲載する。
添付資料5『ステップアップ・プログラム』と『議論するための能力(流暢さ)』との対応

【2】『GTEC for STUDENTSの平均スコア、661点(平成17年12月、3年生40名受験)』−外部テストの結果について:GTEC for STUDENTS(ベネッセコーポレーション)の3年生最終回(12月)の平均総合得点は661点で、本校の補助指標2(600点以上)の規準を満たす生徒は受験者40名のうち34名(85%)である。ちなみに同じ生徒が2年生の時、即ちSELHi指定直後の平成16年5月の時
点の平均総合得点は559.7点である。またいわゆる英検の取得者は、一昨年と比較して、2級、準2級とも増加している。平成18年度の大学入試センター試験の外国語(英語)の平均得点は、筆記(38名、174.9点)・リスニング(38名、47.4点)とも全国平均から1標準偏差(筆記127.4点(39.8)、リスニング36.7点(8.4)、大学入試センター中間集計)を遙かに上回った。
添付資料6 実用英語技能検定試験の取得状況(国際コミュニケーションコース)

【3】『音読・暗誦・即興のトレーニング』−カリキュラム・シラバスの系統化と指導法の工夫(添付資料7、8参照):英語のアウトプットの能力を普段の授業を通じて高めるためのトレーニング法の工夫をすべてのスタッフが実践しているところである。その過程で、「ワード・カウンター」などの新しい工夫が生まれている。今年度末までに授業ごとの実践内容と成果をレポート化し、次年度のさらなる改善へと繋げる。
添付資料7 生徒にかかる「負荷の種類」と「トレーニング活動」との関連
添付資料8 即興モノローグ用のワード・カウンター

【1】「環境を最大限に生かす」指導法の洗練:授業内、あるいは学校における教育活動の範囲内で可能な指導の強化には、すでに時間的・労力的に限界がきていると考えられる。従って、これ以外の部分で効率的・効果的に学習をさせるような環境作りが求められる。例えば、生徒の学習資源として、先生、友人・パートナー、自分一人、コンピュータといったコミュニケーションの対象を上手に利用させるよう科目間で相互補完的に位置づけることなどが考えられる。 
【2】個人差をどう捉えてどう対処するか:本校のSELHiの取組みでは、独自開発のテストやアンケートなどで多くのデータが収集されている。今後この点を生かすなら、fluency / accuracy / qualityなどの各指標に基づいて生徒の個人差を拾い上げ、どう対処していくかということに着手して、生徒の能力を高めていくという方向性が求められる。
 
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