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岐阜県 私立高山西高等学校


■研究開発課題
初級レベルから始める英語ディベートの段階別指導方法の研究
−人の意見を聞き、自分の考えをまとめ発言することにより、議論出来る英語表現能力を身に付けた生徒の育成を目指して−
■主要指標
・発話語数テスト
・ビデオ撮影による記録
■補助指標
・GTEC for STUDENTS(ベネッセ/英語コミュニケーション能力テスト)
・TOEIC
■研究内容
1.   ディベートの段階別指導プログラム及びテキストの開発 (RLWS)

2. ディベートに必要な基礎力の養成 (RLWS)

3. ディベート指導法についての教員研修 (RLWS)

4. ディベートの地域への普及


2005年度以前 学校提供資料

■研究テーマ
「初級レベルから始める英語ディベートの段階別指導方法の研究」
〜人の意見を聞き、自分の考えをまとめ発言することにより、議論出来る英語表現能力を身に付けた生徒の育成を目指して〜
■そのテーマを研究しようと考えた背景
A.議論出来る英語能力が身に付いていない。  
B.自分の意見を言える(スピーキング)能力が不足している。
C.人の意見を聞ける(リスニング)能力が不足している。  
D.ディベートが普及していない。
英語ディベートを通し、生徒が英語を活用する場面が増え、英語力を飛躍的に伸ばした。ディベートは上級者のものではなく、初級レベルから始め、ディベートで英語力を伸ばせるのではないかと考えた。
■当初期待していた成果

・英検3級レベルの生徒が、英語を駆使し議論ができるようになる。
・その授業ノウハウを本校オリジナルテキストとして発行する。

■対象クラス、生徒人数
高2普通クラス1クラス 36名  
高1普通クラス3クラス 100名
■指導教員、教員人数
日本人英語教諭9名、AET2名
■その他
英語ディベート大会を県レベルで企画し4年目。今年は、全国オープンにして、全国から25校35チームが集まり、ミニ全国大会を行った。来年度から、全国の先生方と協力し、地区大会を開き、全国大会を開催できるよう企画している。校内では、日本語ディベート大会も6年目になる。
■指導計画
今年度以降の研究計画(研究内容・方法・研究評価方法)
研究内容(1) 研究内容(2) 研究内容(3) 研究内容(4)
【第二年次】
・カリキュラムの第2段階の開発(Q&Aが出来る、反駁が出来る)
・ワークブック、マニュアルの着手
・評価方法の開発
・指導教授によるカリキュラム、ワークブック、指導法の監修(年3回)

・スピーキング、リスニング、理論的思考、リサーチの指導において、社会的な内容を、日常的に扱う。
・マイクロディベートを週1回行う。
・フルサイズのディベートを行う(年数回)。
・ディベート大会に参加する。
・指導教授の指導(年1回)を受ける。
(1)論理力測定テスト
(2)スピーチ力測定テストを開発し実施する。
(3)コミュニケーション能力テスト(ベネッセ)の実施

・英語教員同士でディベートを行い、ジャッジが適切に出来るようにする(年3回)。
・教員の指導法の研修会(年3回)を行う。
・指導教授からの指導(年3回)を受ける。

・全国中高英語教育研究大会での発表。
・県ディベート大会への参加の呼び掛け(目標25校)
・第4回岐阜県英語ディベート大会の開催(11月)
・地域の先生対象のセミナー(年2回)
・中学校生徒への講習会(年数回)
・全国大会推進委員会で運営準備(全国への呼び掛け)
・県外他校への視察(年2回)
【第三年次】
・カリキュラムの第3段階の開発(高度なトピックで、自在にディベートが出来る)
・ワークブック、マニュアルの完成(総合的に完成)
・改善を加えて、評価方法を完成させる。
・指導教授によるカリキュラム、ワークブック、指導法の監修(年3回)


・スピーキング、リスニング、理論的思考、リサーチの指導において、国際的な内容を、日常的に扱う。
・マイクロディベートを週2回行う。
・フルサイズのディベートを行う(年数回)。
・ディベート大会に参加する。
・指導教授の指導(年1回)を受ける。
(1)論理力測定テスト、(2)スピーチ力測定テストを開発し実施する。
(3)コミュニケーション能力テスト(ベネッセ)の実施


・英語教員同士でディベートを行い、誰もが講習会の講師役が出来るようにする(年3回)。
・教員の指導法の研修会(年3回)を行う。
・指導教授からの指導(年3回)を受ける。

・県ディベート大会への参加の呼び掛け(目標30校)
・第5回岐阜県英語ディベート大会の開催(11月)
・地域の先生対象のセミナー(年2回)
・中学校生徒への講習会(年数回)
・全国大会推進委員会で大会開催準備(全国への呼び掛け)
・県外他校への視察(年2回)
■一連の指導の流れ
<研究仮説の設定とその意義>

初年度の研究課題1の活動方法は、以下の5点である。

(1)試合の流れをつかむ   (2)フローシートが使える   (3)簡単なジャッジができる
(4)リサーチ方法を知る (5)ブレインストーミング、リンクマップ、立論作り

導入段階において、以上の5点を最も分かりやすく生徒に習得させるには、フルサイズのディベートをいきなり行うのではなく、ミニサイズのディベートを比較的容易な論題を用いて取り組むことであると考えた。そこでマイクロディベートが、先の5点を総合的に行うことが出来る取り組みと位置づけた。
その比較的平易なショートバージョンの中で、慣用的表現や雛形にその都度の論題に対応する情報(英単語・英文)を入れ込み文として成立させ、また主張や質問として成立させ、相手チームとキャッチボールを楽しむことが可能になり、生徒が英語での議論や英語コミュニケーション能力を効率よく高めることができるだろうと仮説を立てた。
またミニサイズとはいえ、立論、質疑、反駁の3段階が、フルサイズのディベートと同じく重要な基本要素として含まれる。つまり、マイクロディベートに慣れ親しむことで、議論の勘所や生徒が英語での議論や英語コミュニケーション能力そのものを身に付ける事が出来るはずである。

A)マイクロディベートの概要

A)―(1)マイクロディベートとは
ディベートの試合は、様々な形態があっていいわけだが、基本的には、ある論題に対し賛成(肯定affirmative)、反対(否定negative)の立場に分かれ、両者が「1.立論、2.質疑/応答、3.反駁」の3つのステージを経て、相手の主張の弱点を突き、相手から突かれた点を守り、その後、審判から判定が下されるという議論ゲームだ。その取り組みの中で、英語コミュニケーション能力を高めようというのが、本研究の正に狙いであるわけだが、手始めとして、試合を最短時間のミニサイズで行い、どちらかと言えば議論の深さよりも流れや試合感覚を身に付けさせるというのがこのマイクロディベートである。通常1試合32分で行われる試合を、8分〜16分で行い、以下のようなフォーマットを使用して行った。

マイクロディベート フルサイズのディベート(大会用)
Affirmative Constructive Speech
(肯定側立論)1分〜2分
Negative Cross-Examination 
(否定側質疑)1分〜2分
Negative Constructive Speech
(否定側立論)1分〜2分
Affirmative Cross-Examination
(肯定側質疑)1分〜2分
1st Negative Rebuttal Speech
(否定側第1反駁)1分〜2分
1st Affirmative Rebuttal Speech
(肯定側第1反駁)1分〜2分
2nd Negative Rebuttal Speech
(否定側第2反駁)1分〜2分
2nd Affirmative Rebuttal Speech
(肯定側第2反駁)1分〜2分
Affirmative Constructive Speech
(肯定側立論)3分
Negative Cross-Examination 
(否定側質疑)3分
Negative Constructive Speech
(否定側立論)3分
Affirmative Cross-Examination
(肯定側質疑)3分
Preparation Time
(準備時間)5分
1st Negative Rebuttal Speech 
(否定側第1反駁)2分
Affirmative Cross-Examination
(肯定側質疑)2分
1st Affirmative Rebuttal Speech
(肯定側第1反駁)2分
Negative Cross-Examination
(否定側質疑)2分
Preparation Time
(準備時間)3分
2nd Negative Rebuttal Speech
(否定側第2反駁) 2分
2nd Affirmative Rebuttal Speech
(肯定側第2反駁) 2分
計8分〜16分 計32分

また、普通はチーム対戦で行うところをマイクロディベートでは個人で担当させる。2人で1チーム等の応用形も十分考えられる。が、誰にも頼らず1人で1試合を乗り切る中で、会話の時に生まれる緊張感が、臨場感となって発話の後押しをしてくれることを期待した。
逆に喋れない子のフォローも、考えて行かねばならない。また、ある一定時までは、不明な語に対し日本語を織り交ぜて話しても黙認するなどの部分も必要だと思われる。
3人1組となり1人(Aさん)がaffirmative(肯定)、1人(Bさん)がnegative(否定)、もう1人(Cさん)がjudge(ジャッジ)を担当する。
短時間で行うため、1試合終わったら役割を入れ替えて試合をしてみることも実施しやすい。以下のように、同じメンバー3人が3役を順次体験し、1時間の授業内で終わらせることも可能だ。

1巡目   2巡目   3巡目
肯定側 否定側

肯定側 否定側

肯定側 否定側


立場が変わるからこそ見えてくるという側面があり、「一度相手の立場に立つ」、また「ジャッジとして中立に立つ」ことを経験することが、議論の客観性を高めることになる。これはディベート全般について言えることでマイクロディベートに限ったことではないが、初期の段階から、ディベートの精神を知るという点でよい導入法と言える。また、英語運用の点においても、マイクロとは言え、1.立論における主張の展開方法、2.質疑/応答の仕方、3.反駁でのsignposting(指摘)の手法は、フルサイズのディベートと基本は同じであり、正にディベートの基礎を習得する上で、有益な導入方法だと言える。

A)―(2)フローシートについて
毎回、指定のフローシートに試合内容を必ず書きこませる。議論の流れを丁寧に理解し、論点を見失わない様にするためには不可欠だと認識させる。
また、聞き、書きとめ、考える事は、議論する上で大変重要で、フローシートを書く習慣はノートテイキングの能力を磨くのに有益である。
一試合毎に書き込まれる文字の量が増え、議論が徐々に見えてくるという喜びを感じてくれることを期待した。

A)―(3)―(1)ジャッジについて
判定は、全ての試合で必ず行う。時限のある議論では必ず勝敗があり、その勝敗には理由があることを意識させたい。限られた時間の中で、集中力をギリギリまで高め思考する姿勢、また試合感覚等を身に付けさせたい。
ジャッジは、極力生徒にやらせる。両者の主張をじっと漏らさず聞き取り、試合の流れを見つめ最後には公正に判定を出さねばならない。判定には、出来る限り明瞭な根拠を持って臨まねばディベーターは納得しない。つまり、客観的な姿勢が求められる。これは生徒のディベートの力、及び英語の力が上がってくれば来るほど、求められるものである。同時に、自分がディベーターとしてジャッジを説得するとき、より全体を見渡した議論が出来る。ディベーターの力は、ジャッジする力と等しいとよく言われる所以である。
確かに、ジャッジの能力不足で公正な判定が出ないこともある。しかし、それも実践の中で研かねば精度が上がらない能力である。
また、ディベーターの健闘をたたえたり、次の試合や今後のモチベーションに繋がるような一言を添える配慮も、経験の中で培って欲しい。日本語から徐々に、英語での講評・判定も将来的には出来るところまでを期待した。

A)―(3)―(2)ジャッジの仕方の指導
ジャッジをする上で、次の点を配慮するよう指導した。

  • 議論につながりがあるか。
    相手の議論を聞き、それに対し反論するやりとりになっているか。論点がずれていたり、違う基準で話をしていないか。
    逆に、議論の流れに追従せず、的外れであることを指摘した上で、より重要な点に視点を向けることができるか。
  • メリット、デメリットについて、立論として論拠を持って成立しているかを確認する。
  • それぞれのポイントについて、議論のやりとりの中で、立論で提示されたポイントが潰されずに残っているか。
    残っている。 ○
    半分ほど潰された、または、どちらとも言えない。  △
    ほとんど潰されて反駁が勝っていた。 ×
  • ○の数で基本的に判定するが、判定後、今一度、全体を通してメリット、デメリットの比較をし、総合的に、どちらのサイドが強く残ったかを比較検討し、最終的判定をする。
  • 英語運用能力については、相手チーム及びジャッジに通じれば十分とした。逆に、最低、通じなければならない。

B)マイクロディベートの具体的な取り組みと進捗状況

B)―(1)授業の取り組み

以下の表が、本年度扱った、マイクロディベートの授業である。

ディベート授業 マイクロディベート 月日 授業内容
3時間目 その1 8/19 ブレインストーミング、簡単な立論作り、簡単な反駁作り、試合(1)
4時間目 その2 8/22 簡単な立論の形を知る、試合(2)、試合(3)、想定問答集を作る
6時間目 その3 9/2 サーキットスピーチ、試合(4)
10時間目 その4 9/25 サーキットスピーチ、試合(5)(日本語で)
11時間目 その5 9/27 英単語リストの確認、試合(6) 想定問答例配布
14時間目 その6 10/15 反駁の仕方を知る  
16時間目 その7 10/18 試合(7) 試合(モデルディベート)を見る

通算7時間7回の試合を生徒は経験した。生徒たちは、3人一組になり肯定側、否定側、ジャッジの3役を担当する。同じメンバーで、役割を変え同じ論題で試合をして、3つの役を2回以上は経験したことになる。

B)―(2)論題について

まず論題を「Japan is a good county.」に選んだ。
この論題は、中嶋洋一先生の「英語のディベート授業 30の技(明治図書)」の中の、中学生が英語でディベートを行った事例を参考にした。
生徒にとって身近で、例が出しやすいものだ。先生の取り組みを参考にした。

B)―(3)授業の内容と生徒の感想

B)−(3)−(1) <マイクロディベートその1 2004.8.19>ブレインストーミング、簡単な立論作り、反駁作り、試合1

立論の形

I think Japan is( not ) a good country, for following 3 reasons.
First, Japan

Second, Japan

Finally, Japan

That's why I strongly believe Japan is a good country.

生徒の言葉 初めてのディベートで、聞き取りが出来ず、分からないまま話すだけだった。自分の中では失敗だった。
思っていたより楽しかった。流れはだいたいつかめた。立論が上手く言えなかった。
最初は良かったが、反駁の辺からほとんど日本語だった。簡単なやりとりは出来た。
伝えたいことが英語に出来なかった。すぐに質問に答えられなかった。

B)−(3)−(2) <マイクロディベート その2 2004.8.22> 簡単な立論作り、想定問答集を作る、試合2、3

想定問答集を作る紙   Japan is a good country.


理由 説明 質問 反駁
賛成 (1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)
反対 (1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)
(1)

(2)

(3)

生徒の言葉 前回より質問が出来るようになった。少し英語も使えた。反駁されても又反駁出来た。
前回よりはディベートっぽくなったと思います。1分30秒なるべく英語を使うよう努力した。
沈黙が長い。日本語を使っている。英語の授業で習った構文を使えていたのが良かった。
質疑の時の答え方をもっと教えて欲しい。自分が考えた以外のいい意見があるなぁと思った。

B)−(3)−(3) <マイクロディベート その3  2004.9.2> サーキットスピーチ 試合4 

生徒の感想   前にやっているので慣れてきた。英語で自分の意見を話すことが出来た。
反駁で沢山自分の意見が言えた。前の時より日本語を使うことが少なかった。

 

B)−(3)−(4) <マイクロディベート その4 2004.9.25> 日本語によるマイクロディベート 試合5

日本語によるディベートの発想は、必然的に生まれた。英語で4回マイクロディベートの試合を繰り返した頃、議論が深まっていかないことに気付いた。「一度日本語でやってみたい。」と生徒の口から出たのは自然だった。生徒から1つの制約を外す事に等しかった。
以下が生徒の感想。ある種、フィルターを通してぼやっとつかんだディベートの世界を、ここで日本語のフィルターでつかみ直し幾つかのことが、明瞭になった実感があったようだ。次への自信になったはずである。

生徒の反省 日本語でやったので、立論も質疑も反駁も沢山出て良かった。これを英語に繋げたい。
今日くらい言い分で、英語を使って話してみたい。
この日本語ディベートをこれからどうやって、英語に繋げるかが大切になってくると思うので慣れていきたい。
日本語で流れを掴んでから、英語でやったほうが良いと思いました。
細かく意見が述べられて楽しかった、相手の意見に答えられて楽しかった。
これくらい英語でバンバン言うのはむつかしいけど、流れを掴めたので言えるだけ言っていこうと思います。
日本語だったので、具体的に言えた。確信を持って言えた。

英語という枷(かせ)をはずしたことにより、議論が自由に出来た、深まったという感想が多かった。さらに、授業者がフローシートの説明を日本語でしたので、よりディベートの流れとフローの書き方が、よく理解できたようだ。
議論そのものを深めるという意味では、日本語を使いイメージをつかませることは、生徒に負担をかけないことだと良く分かる。ディベートを楽しいと思えることにもつながる。「次はこのポイントを是非英語で言ってみたい」と英語を使うモチベーションにもなるようだ。
単語や熟語のみを英語にして、後は日本語で行う日英折衷ディベートも、段階を踏む中で、有効な手法だろう。マイクロディベートの6回に1回くらいのペースで有益であろう。

B)−(3)−(5) <マイクロディベート その5  2004.9.27>英単語リストの確認、試合6、想定問答例の紙を配布

以下の紙を配布


理由 説明 質問 反駁
賛成 (1)経済的に豊か


(2)平和


(3)四季がある
世界2位のGNP
医療も発達している。

戦争がなく、戦争に反対している。

変化に富んでいて季節を食事、服装、装飾で楽しめる。
(1)企業だけが裕福なのでは。

(2)イラクとか戦争に向かっている。

(3)経費がかかる、日本だけではない。
(1)個人的にはそれほど裕福とは言えない。

(2)慎重に行っている。国内で戦争はない。

(3)お金を出しても、四季の変化は人々に喜びを与える。
反対

(1) 不況

(2) 治安悪化




(3)地震大国

戦後最悪、自殺者

道徳心が低下
毎日殺人事件
泥棒や変質者も多く、安心して暮らせない。

いたる所で地震が間近に起こると予知されている。

(1)バブル期と比較したらそうだが、最悪ではない。

(2)被害にあったか?
一部の話



(3)本当に起こるのか、対策が出来るのでは。

(1)大学生にも仕事がない。大黒柱が失業する。


(2)殺人事件の数は圧倒的に増えた。
セキュリティの会社も繁盛している。

(3)ここ10年の間には大型の地震が起こると予測されている。阪神では5000人もの人が亡くなった。


生徒の感想1 やはり日本語で話すよりも具体的に話せませんでした。単語をもっと覚えたい。
何回もやってレベルも上がってきたと思う。日本語でやったお陰で流れが分かりやすかった。
前に日本語でやったので、すらすらと出来たので良かった。まだ英語に直せない部分も多いが。具体例がないとあまり意見は通らないと分かりました。今までで一番話せた。
先生から配られた紙は使いやすかった。先生の紙に頼りすぎはいけないと思う。
授業で習った文型など色々使えたのでよかった。

生徒の感想2 ジャッジをしたんだけど、どうやらみんな質問と反駁が苦手みたいです。私も。(2204.9.27)


B)−(3)−(6)<マイクロディベートその6 2004.10.15> 反駁の仕方を知る

やはり、「反駁の仕方」自体を体系的に指導する準備が必要となっていることを示していた。そこで、マイクロディベートの試合ではなく、反駁自体を指導する時間を1時間取った。「Discover debate」の反駁の部分を使うこととした。これは、
「この意見は、どう反駁したらいいか?」ではなく
「この意見は、6つのパターンのどれで反駁するといいか?」と、当てはめ式で慣れさせるものである。この点では、生徒も受け入れやすかったようで、マイクロディベートの試合で、生徒は使いやすかったようだった。

反駁のパターンは、以下の6種類である。



B)−(3)−(7) <マイクロディベート その7 2004.10.18 運営指導委員会> 試合7 モデルディベート観戦

運営指導委員会で、マイクロディベートの実践と、その代表者によるモデルディベートを見てもらった。

生徒の感想 緊張感があり、今までで最も充実したディベートだった。
文はめちゃくちゃだったけど伝えることが出来たのでよかった。
習った6つの反駁方法を考えながらやれました。いつもより反駁が沢山出てきた。面白かった。
モデルディベートはすごかった。間がほとんど無かった。自分達との比較が出来て良かった。
レベルが高かった。ずっとこの論題でやってきたのでなんとなく内容は分かった。
モデルディベートはスピードが速く分からなかった。単語が難しく聞き取れなかった。
モデルディベートは見るのは面白かった。

B)−(3)―(8)

当初目標としていた、各段階で使用する以下のような英語表現を一つの雛形として使えるようなワードリストを配り、それを使いながら議論をするように指導した。

  • Constructive speech: I strongly believe that ……… .
  • Q&A:“ Did you say,” “ in the first point?” “Why do you think so?”
  • Rebuttal: You said that ○○○, but I don't think so, because……… .

B)−(3)―(9)

ウオーミングアップの会話練習について 
また、授業の導入部で毎回行った約3分のペアによる会話練習では、その表現を極力使わせた。

会話練習(例:比較に重点を置いた会話練習)

A : I think Mt Norikura is the highest mountain in Japan.

B: You said,“Mt Norikura is the highest mountain in Japan”.

But I don't think so (I don't agree with him).

because Mt Fuji is the highest mountain in Japan.

A:(例:Lake Biwa 、Lake Suwa ---deepest/ The Tone river、The Yodo river--- longest)


B)まとめ

ディベートの試合の流れと、「立論、質疑、反駁」という3段階の試合における意味、役割を、このマイクロディベートの中で実践的に理解してくれたと思う。
生徒の進捗は、フローシートに生徒達が書き込んだ文字数や内容で見ることが出来る。
当初、空白の多かったフローシートであるが、回を追って相手の意見と自分の考えの両方を、フローシートにメモできる生徒が増えた。         
これは、次の理由が考えられる。

1.同じ内容が繰り返し登場し使い慣れてきた。
1)自分が何度も同じ表現を使う。
2)他の2人が使った表現や作戦を、自分も同様に使う。
2.聞き取る力が付いてきている。
3.議論のやりとりやディベートというものの流れが理解出来てきた。
4.別の授業で習った表現を試合で使える。

様々な理由が複合的に絡みあっているのだろう。が、これこそが本研究の狙いである。マイクロディベートの取り組みは、一つのトレーニングである。繰り返す中で発見が経験になり、それが次の挑戦へと繋がる。その循環の中で論題に慣れていくのであるが、実はそれはとりもなおさず、英語の慣れに繋がっていき、生徒の発話の自信になる。前の試合で友が使ってしてやられた表現を、今回は自分が使おうとする。そこには、試合後、審判から判定が下され、必ず勝ち負けが付いて回るという点が最大のモチベーションとなっている。


C)大会から学ぶ

C)―(1)大会に参加するという経験  長野県・岐阜県大会観戦 

大会の状況については後に詳しく述べるが、1年生のこの時期で、対外試合にどれほど力量を発揮できるか確認するため、また、大会に参加する経験が彼らにディベートの試合の実感を持たせることとなるだろうという見解から、英語科の先生方との議論の末、参加させる事にした。

生徒たちは、以下2つの大会に関わった。

ディベート授業 大会 月日 授業内容
19時間目 その7 11/19 長野県大会準決勝を見る。フローシートを採る。(1)
20時間目 その8 11/20 長野県大会準決勝を見る。フローシートを採る。(2)

論題は、「It is necessary for students to study English in a native English speaking country. 」(英語を母国語とする国で英語を学習することは必要だ。)」
岐阜県の大会は、長野県の論題に合わせた形だ。フォーマットもほぼ同じだ。相互交流が出来るようにという配慮だ。

C)―(2)長野県大会の観戦 

参加者 25校32チーム、約100名が参加した。
本校からは、ESS部の4名1チームが参加。
SELHiの1年F組は、全員が準々決勝、準決勝を2試合観戦し、フローシートを採る練習をした。 

生徒の感想 初めてきちんとしたディベートの試合を見た。今回は、書くより見て聞く勉強をしたと思う。レベルの高い雰囲気を知ることが出来た。英語もそれなりに理解できた。
学校で少し内容に触れていたが、スピードが速くなかなか聞き取れなかった。準々決勝より準決勝の方がより内容が理解できた。
聞きながら書くのは大変でした。でも6割くらいは理解できたと思う。
意味を考えていたら、学校でのディベートとは違ってどんどん進んでいき、フローシートが全然採れなかった。自分のジャッジは、逆の結果だった。フローシートが不十分だったからだろう。
知らない単語を使っていた。発音がいい人がたくさんいた。朝のリスニングを大事にしたい。

レベルの高い熟練したディベーターたちを見て、驚きとともに自分たちの目指すゴールが分かったのではないか。また、発音のよさに特に衝撃を受けていた。大変いい刺激になったようだ。
単語や出されるだろうメリット・デメリットをもう少し事前にインプットしておけば、生徒たちの理解が深まったかもしれないと思う。

C)―(3) 岐阜県大会の参加と観戦

参加者     10校14チーム、49名が参加した。

本校からは Aチーム 3名(ESS部の2、3年生の経験者チーム)
Bチーム 3名(SELHi 1年F組代表)
Cチーム 3名(SELHi 1年F組代表)

結果 Aチーム 準優勝
Bチーム 予選リーグ0勝3敗 
Cチーム 予選リーグ0勝3敗

SELHiチームは予選リーグ3試合を経験した。成績は両チームとも0勝3敗で、完敗であった。6名の参加者は、クラス内であまり十分な練習のない未熟な状態で(課外で約8時間を行った)、対外戦に挑戦したが、十分今後に繋がる経験であったと思う。

6名の試合に参加した生徒以外は、試合の観戦を主に行い、リスニングをし、フローシートを書き込むという作業を行った。マイクロディベートで流れは理解出来ているし、長野の大会で一応慣れているが、個々の議論を聞き取るところまでは、十分力が至っていない。 

C)―(4)長野県大会の試合をビデオで見て、検証する 

ディベート授業 大会 月日 授業内容
19時間目 その7 11/19 長野県大会準決勝を見る。フローシートを採る。(1)
20時間目 その8 11/20 長野県大会準決勝を見る。フローシートを採る。(2)

19時間目(11月19日),20時間目(11月20日)は、長野県大会のビデオをクラス全体で見ながら、フローシートを採る練習をした。授業者も黒板上にフローを書き、その都度ビデオを止め内容を確認しながら進めた。どの部分の議論が試合の中で有効に機能したかを検証した。  

どの部分で反駁の漏れがあったか、1つの試合(フルサイズ)を、こうして解説を加えながらじっくり見たのは始めてだったので、よく理解出来たようだ。

生徒の感想 当日はさっぱりだったが、今日解説を聞いて、詳しく分かった。資料もあってよく出来ていると改めて感じた。
2回目なので、自分で聞いて理解できるところがあった。どんな風に言えば強い意見になるかも少し分かった。
レベルがすごく高いと改めて感じた。解説を聞くと、的外れなところもあると良く分かった。
知ってるところは何とか聞き取れた。勝ったチームは反駁の突込みがうまいと思います。
以前より聞き取る力が付いていると思う。大会のときより分かった。
相手の意見のすきを逆の発想で突いていて、レベルの高さを感じます。
部分的には聞き取れるが、全体では何を言っているのか分からなかった。
自分のフローには、書いてないことがたくさんあって、今日のこういうチャンスで学びたい。

C)−まとめ
大会は、日ごろ地道に行っていることの集大成的な部分がある。初対面の他校生徒と実力をぶつけて争うわけである。自分たちの英語力や、ディベート力が、他流試合でどの程度通用するのかが分かる場である。その意味で、今回の参加は、ずいぶん刺激的な体験となったようだ。反面まだ1年生で、ディベートを始めて年月も浅いためだが、実力の差を痛感した体験ともなった。他校の1年生や、2、3年生の、のびのびと英語を運用し議論する姿を憧れを持って見つめ、ディベートの可能性の大きさを改めて理解したことは、間違いない。

D)反駁の仕方を学ぶ 

D)―(1)反駁への移行
11月13日の大会参加を機に、方向性の変換を行った。それはマイクロディベートが一つの限界に達していることを示していた。このままマイクロディベートを続けても次のことが壁となった。

問題点 1)反駁が、深まらない。
2)英語の表現が広がらず、精度も高まらない。

「反駁」をどう体系的に指導していくかという問題である。主張に対し質問し理解するまでのトレーニングは、サーキットスピーチである程度対応できる(まだ研究の余地は多分にあるが)。しかし相手の主張の不備をどう見つけだすか、また見つけた後どう反撃を加え自分の論理を有為に展開するかは非常に難しい段階である。

1)については、やはり論理の仕組みそのものを理解していなければ、どの点に置いて議論が弱いのか強いのかがいつまで経っても理解出来ない。論理の仕組みをしっかり学ぶ必要性が出てきたということである。(これは日本語での論理学の領域かもしれない。)

2)については、ある一定の慣用表現は、繰り返しの中で使用出来るが、発展的応用のインプットが、英語のレベルを上げないと、どこまで行っても言いたいことが正確には言えない。また、マイクロディベートは生徒同士で行うので、自由に伸び伸びと英語を使ってはいるが、間違った表現を正す部分がなく、なんとなくそれなりに疎通してしまう、あるいは肝心な部分を日本語で済ませてしまう、という問題である。要するに、議論力と英語運用力が重要だということである。

そこで、26時間目(1月28日)からは、マイクロディベートを一旦中止して、反駁そのもののノウハウを学ぶ方向へと変えた。そこでまず頼ったのが「Discover Debate」である。運営指導委員の先生方から、適切にまとめられていない部分が散見されるとの指摘もあったが、反駁における手法で生徒にとって取っつきやすい部分もあるように見えたので、部分的に使用することとした。

D)―(2)反駁力を高めるための指導法の研究

「Discover debate」を使っての授業事例

(1)supportの種類を知る (1月28日)
(2)立論構造を知る    (2月5日)
(3)反駁の仕方を学ぶ   (2月9日、2月19日)

D)−(2)―(1)supportの種類を知る

(1月28日)「Discover debate」を使って
supportには「Example(例)、 Explanation(説明)、Expert opinion(専門家の意見)、 Statistics(統計)」の4種類あることを知る。

1)どの主張とsupportが一致するかのマッチングのタスク
2)具体的なsupportの例文を読み、4種類のどれに相当するかを特定するタスク
3)Opinion, Reason, Supportの組を成立させるマッチングのタスク
4)14の例文が4種類のどのsupportに属するかの選別をするタスク。また、慣用表現を文中に入れ込むタスク

D)−(2)―(2)立論構造を知る
(2月5日)「Discover debate」を使って

1)立論が家を建てることと似ていることを把握する空欄補充のタスク
2)signpostの概念を認識するタスク
3)6つの文を並び替え、適切な形で立論を作成するタスク
4)立論(英文)を読み、signpost,reason,support,の3パートを区切っていくタスク
又、supportは4種類の中でどれかを特定するタスク

D)−(2)―(3)反駁の仕方を学ぶ
(2月9日)「Discover Debate」等を使って、Critical Thinkingの姿勢を持つ。

1)6つの反駁パターンを再確認する。
2)広告への反駁を考える。もっともらしい主張に因果関係がないことを見つけだす。
3)手紙文(主張)に対しQ&Aを行う。文構造の把握。(signpost, reason,support)
4)手紙文(主張)への反論。7カ所の反駁できる部分を見つけだす。それが6つのパターンのどれで反駁できるか

(2月19日)「Discover Debate」を使って反駁の仕方を学ぶ(運営指導委員会)

5)手紙文(主張)への反対を訴える手紙に対し反駁のポイントを見つけだす。
6)岐阜県大会のビデオを見て、Q&Aや反駁のあり方を検証   

D)まとめ

「Discover debate」では、反駁を学ぶために、
(1)supportの種類を知る (2)立論構造を知る (3)反駁の仕方を学ぶ
の手順で進めている。そこに幾つものtaskを入れて、問題を解決しながら把握する形を取っている。その作りは丁寧であるし生徒も理解しやすそうであった。

反面、運営指導委員の先生方から、次の指摘をいただいた。

1)反駁の6パターンは多すぎて生徒が混乱する。基本は3つで十分ではないか。         
2)反駁すべきポイントを指摘し数えるタスクで、指摘部分が細かすぎないか。

基本的には反駁すべきは2カ所で、別々の7カ所となっている点。
反駁は、基本の3パターン(以下)で十分。生徒にとって分かりやすい。

 

反駁は、論理の矛盾点を突く高度な技術である。それだけに、授業者が構造をしっかり理解した上で指導しなければ、体系的に生徒に分かりやすく指導出来るはずがない。非常に難しい領域であると改めて思わされた。これは、来年度の中心的課題の一つとなる。

「論理的な英語力を鍛える」(黒川裕一著)によると、以下をポイントに挙げている。

・主張の構造の正確な把握(文と文との接続を把握する)
・的確な質問、反駁のあり方の把握
(意味確認の質問の仕方、「帰納、否定、ド・モルガンの法則、逆・裏・対偶」の把握)
・噛み合わない議論の把握
・頻出表現の文例の学習

上記のポイントが、英文の演習問題をふんだんに盛り込み効果的に理解できるよう編纂してある。

英文による問題例を、授業に取り入れるなどして、生徒の論理力を伸ばしていき、反駁の技術を向上させたい。また、これらの文献を今後さらに研究して、より効果的な指導法を今後模索したい。

■成果
生徒の英語コミュニケーション能力の向上と評価について

1.総括

1年間の取り組みを終了した時点で、生徒の英語力向上の成否という側面から、本校の活動を振り返った時、断言できる段階ではないにしても、いくつかの点で進捗と捉えても差し支えないような変化が対象クラスの生徒の中に見られるようになってきた。後述のように、客観的なデータをいくつか分析してゆく中で特筆すべき変化が表れたのも事実であるが、最初に1年間の取り組みと生徒の活動に対する姿勢の変化について簡単に振り返ってみることとする。

A)話すことに対する姿勢の変化

活動当初は多くの生徒達がディベートやサーキットスピーチの取り組み自体に違和感を抱いていたようである。それまでのような、ロールプレイ的手法を用いた日常会話の練習から実際に(もちろんロールプレイ的要素は含んでいるが)英語をコミュニケーションのツールとして利用することに関しては、ある種のとまどいを感じていたようである。そのためサーキットスピーチのQ&Aセッションやマイクロディベートのアーギュメントにおいて自分が発言する番になった時に何も言えなくなってしまう生徒も見られた。しかしながら、サーキットスピーチ等の授業が進んでいく中で徐々に発話することに対する恐怖感のようなものが薄らぎ、積極的に発言する生徒が多く見られるようになってきた。

B)聞くことに対する姿勢の変化

毎日のリスニングの取り組みや、サーキットスピーチ等の活動を通して、聞く姿勢にもいくつかの変化が見られるようになってきた。サーキットスピーチの報告文の中でも述べているように、活動当初は発話される個々の単語やフレーズを聞き分けるということに神経をとがらせている生徒が多く見られた。しかしながら、個々の単語よりも、文章全体に注意を向けることで、ある程度のポイントをつかむことが出来ることに気づきはじめた。その結果、必要以上に緊張して聞くのではなく、ある程度リラックスしながら聞くようになってきたようである。

C)書くことに対する姿勢の変化

文章を書くというのは4技能の中でも特に効果的な指導法が確立しづらい部分であるといえる。実際に本校においても、当初は具体的な指導方法が見つからないまま、取り組みをスタートさせてしまった。しかしながら、後述のデータにおいても明らかになっているように、比較対象のクラスとの差が最も縮まったのがこのライティングであった。理由として考えられるのは、サーキットスピーチの中でオリジナルスピーチを作成することとなり、数回にわたりフィードバックを与えながら、作文の指導を行ったことで文章を書くことに対する抵抗感が薄らいできたように感じられる。しかしながら、同分野は明確な仮説に基づいた活動ではなかった為、その効果の実証が来年度の大きな課題となってくるであろう。

D)全般的な雰囲気の変化

活動当初はディベートやサーキットスピーチの活動自体に抵抗を感じる生徒が何人か見られたが、この一年間の活動を通して、英語という一つのコミュニケーションツールを用いて意思疎通をはかることにたいして、積極性が見られるようになってきた。英語の用法自体を教えることと比べれば、確かに多くの労力と時間を要することにはなるが、生徒自身のモチベーションは確実に高まってくることがこの1年間の活動を通して明確になってきたと言える。

2.外部試験結果

GTEC

生徒の英語力を客観的に評価する指標の一つとしてGTECを採用している。本校の研究課題は英語でディベートができる生徒の育成であり、スピーキング力は本校のオリジナルテストで評価しているため、リスニング、ライティング、リーディングの評価をGTECで行っている。

■スキル別の比較(SELHi対象クラス)
SELHi対象コースを第1回目のトータルスコアを基準にして、上、中、下の3レベルに分けて、分析を行った。

<トータルスコア>
上、中、下ともに120%以上の伸び率を示し、順調に英語力が向上していることが窺える。しかし、上位層と下位層に約88点の差があった。それが77点にしか縮まっていない。クラス内のバラつきを解消することが来年度の課題である。

<リーディングスコア>
リーディングスコアは中、下が点数上だけを見ても顕著な伸びを示した。GTECで測れる3スキルの中で、リーディングの伸び率が一番良いと言える。T検定を実施した所、下位層のほうが上位層より有意に高い上昇率を示し、実質的にも「向上した」と言える。

<リスニングスコア>
上、中、下とも顕著な伸びを示した。リスニングは研究課題の一つであるため、生徒以上に教員もこの結果に喜んでいる。

<ライティングスコア>
まず、ライティングは下位層が中位層よりもスコアが高い。つまり、ライティング能力が低い生徒が、低いレベル(中、下)には多いということがいえる(ライティングスコアだけで言えば、上、下、中の順)。しかし、2回目では、上、中、下の順に戻った。文法力や語彙・イディオム力がないと、ライティングのスコアの向上はなかなか結果として現われないため、通常、上位層のスコアの伸びが見られ、中位層、下位層は伸び悩む。しかし、本校の場合は、上、中、下ともに平均的な伸びを示しているのは、前述の通り、サーキットスピーチの指導時に何度もスピーチ原稿を書き、教員がそれを添削し、生徒はフィードバックに基づいて、リライトした、そのプロセスが大きく影響したと考えられる。

■SELHi対象クラス(F)と非SELHi対象クラス(EとG)の比較

3クラス(E、F、G)は高校入学時の成績により編成されたG→F→Eの順での習熟度別HRクラスである。
トータルスコアだけをみると、3クラスとも平均的に英語力が向上していると言えるが、トータルスコアを構成しているスキルでみると、1年目からSELHiの効果が出ていることが分かる。
前述のように、ライティングはサーキットスピーチの原稿作成など、生徒が多くの時間を費やした活動ではあるが、指導している際は、ディベート力向上のための一つの活動という意識が高く、ライティング力向上を目的としていなかったため、教員にとっては驚きの結果だった。しかし、棚から牡丹餅だったとしても、プロセスライティングが生徒のライティング能力向上に有効だということが判明したため、そのプロセスや指導法をまとめ、来年度校内で波及させていきたいと考えている。

<トータルスコア>

<リーディング>

<リスニング>

<ライティング>

3.スピーキングテスト試験結果

発話語数テスト 

江黒 永寿

「日頃、サーキットスピーチやディベートに取り組んでいる成果は、英語を発話させた際に必ず何らかの形で現れてくる」という信念のもとに考えたのが、「発話語数テスト」である。英語の教授には、文法、発音、抑揚などが不可欠であるが、それらを主にとらえるのではなく、生徒の「発話の積極性」「瞬時の英語運用能力」を重視し、このテストを試行することにした。

<仮説> 
サーキットスピーチ、英語ディベートの進捗状況に伴い、限られた時間内での発話語数も増え、発話される文もより正確になってくる。

<検証プロセス>
一つのトピックを与え、1分間考える時間を与える。その後、1分間にどれだけの語数を発話できるか、を数える。

<開発プロセス>

(1)第1回発話語数テストの開発及び1−Fのみでの実施
(2)第2回発話語数テストの開発及び1−Fのみでの実施
(3)運営指導委員会で、指導委員からの助言を頂く。それに基づいて、改良を行う
(4)第3回目(新)発話語数テストの開発及び1−Fと1−Gでの実施

<トピック> My family、My favorite place、 My favorite movie、 My hobby、 My favorite sport

無作為に一つのトピックを選び、発話させる。文法的間違いは指摘せず、大体意味が通じると判断されれば1語とした。また、同じ単語の繰り返しなどはカウントしなかった。2文型の文が多く、interesting、 funny、 exciting などで文が終わってしまい、内容に幅や深みがなくなる生徒も多く見受けられた。

以下の点もさらに検討の必要性を感じている。

  • 1分という長さが適切かどうか。
  • 要領をつかむ、慣れる、といった点で今回はとどまったかもしれない。
  • トピックによっては、瞬時に反応しづらいものもあった。(My favorite movie など)

名詞の羅列をどうとらえていくか。(例:My favorite sports are tennis, baseball, basketball, volleyball, softball, handball and soccer. などの文)

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