指導変革の軌跡 長崎県立諫早(いさはや)高校「進路観の醸成」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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CDA学習を通して身につけた「粘り強さ」

 こうした指導の結果、生徒に粘り強さが見られるようになった。現役国公立大合格者数は、06年度から2年連続で県内トップ。07年度入試では東京大2名、九州大25名が現役で合格するなど、難関大への合格者も確実に増えている。「以前は、私立大に合格したら国公立大の後期試験まで粘れない生徒が多くいました。しかし、教師が後期試験ギリギリまで生徒と精一杯向き合うことで、生徒も最後まで頑張れたのだと思います」と石山先生は振り返る。
 05年度には、単発で行っていた取り組みを整理し、体系化した(図2)。数年前から進路指導担当や各教科のベテラン教師が相次いで定年を迎え、教職員の顔ぶれが大きく変わりつつあった。担当がだれであれ、CDA学習を継続できる体制を整える必要があった。進路指導部副主任の松尾英隆先生は、「以前は、取り組みのたびに準備や運営の方法を確認していましたが、今ではスムーズに進められています」と成果を述べる。

図2:CDA学習の年間スケジュール(05年度)

 また、取り組みの体系化により、ほかの取り組みとの相乗効果が生まれた。2学年主任の福田公彦先生は次のように話す。
 「CDA学習では、志望理由書や小論文を書く上で、生徒自身が進路選択に必要な情報を収集する場面がたくさんあります。今まで『総合的な学習の時間』だけでは不十分だった情報収集が、CDA学習で補完できるようになりました」
 今後の課題は、CDA学習が目指す「総合的学力」を育てる仕掛けを更に工夫することだ。渡邉先生は、「生徒の総合的学力をもっと高めるには、教科を横断した力の育成が必要です。シラバス、『総合的な学習の時間』、CDA学習を有機的に結び付ける方策を考え、教師が他教科やほかの取り組みとのつながりを意識しながら指導できるよう体系化していきたいと考えます」と、抱負を述べる。同校が目指す「志の教育」は新たなステージに入ろうとしている。


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