指導変革の軌跡 愛知県・私立一宮女子高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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物事を表面的に捉えず掘り下げて考える力が…

 改革がスタートして4年、同校の進学実績は向上している。例年30〜40名だった4年制大合格者は、07年度には115名となり、改革前の3倍を超えた。しかし、青山教頭は「合格実績はあくまで結果に過ぎない」と冷静だ。
 「改革と共に、進学実績が向上していることは確かです。しかし、それ以上の成果は、多くの生徒が幸せとは何か、そのためにどう生きるべきかを真剣に考えるようになったことです。その結果、4年制大への進学希望者が増え、進学実績の向上に結び付いているのだと思います」
 実際、生徒には物事を掘り下げて考える姿勢が見えるという。06年度に赴任した進路指導主事の近藤良俊先生は、同校の生徒の第一印象を次のように話す。
 「今の生徒は、物事を表面的に判断する傾向があります。しかし、本校の生徒は、『こういう考え方もあるのか』『このような意味があったのか』など、多面的な視点から物事を見ることができていると思います。授業でも深くうなずきながら話を聞くなど、しっかり反応を返してくれるので、教壇に立っている私の方が励まされることが多いくらいです」
 今後の課題は、進路行事の精選と更なるブラッシュアップだ。
 「数多くの行事を行うメリットは大きいのですが、今は行事が多すぎて、生徒、教師共に消化しきれていない面があります。より効果を高めるためにも、一つひとつの取り組みのつながりを意識しながら行事を精選しようと考えています。また、生徒の知的好奇心が高まっていることも感じています。生徒のリクエストに応えられるような行事を提供していきたいですね」(青山教頭)
 教育の本質とは何かを突き詰めて考え、正攻法の改革で実績を上げた一宮女子高校。「幸せの追求」に向けて、新たなステージへと踏み出そうとしている。

図2
進路行事のほか、文化祭や体育祭などあらゆる行事のあとに生徒が提出する報告書。事後のレポートについては、作文形式で書かせる学校が多いが、同校では、3つのポイントに絞って箇条書きで作成させる。エッセンスを抽出して書かせることで、考えをまとめる力を養うのが狙いだ。

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