教科指導最前線・国語
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 2/2 前ページ

手作りの教材で、古文の世界に親近感を持たせる

 田口先生の古文の授業にも特徴がある。古文常識を伝える「古典講読」では、のような「愛の古文」という独自教材を活用。人が生まれてから死ぬまでに経験するさまざまな愛の形をテーマに古典文学を読み解いていく。

【図】「愛の古文」目次ページと中面

図1:2007年度版『城中NAVI』の内容


 「何度も授業で使っている」という田口先生手作りの古文教材。「愛」をテーマに古典の名作を取り上げ、解説する。
 平安時代の人々と現代人の共通点などを示すなど、生徒に親近感を持たせるよう工夫されている。


 「『愛』という感情には時代を超えた普遍性があります。平安時代に生きた人々と自分とのつながりを実感できると『わかる』と生徒は思う。興味があるテーマですから、読むのも苦ではなくなります。文化的背景を説明すると、生徒は古典の世界にすっと入れます」
 文化的背景を理解することで、文章を類推する力も身につけられる。同じ理由で、古文単語も意味を丸暗記するのではなく、なるべく原義を意識させるようにしている。 
 また、古典の世界を読み解く際には、もちろん、文法もしっかり教え込む。
 「特に、助詞・接続助詞、補助動詞はしっかり教えます。ここを読み違えると文章の意味が全く変わることもあります。小テストなどを通して、確実に身につけさせます」
 このような授業で、理系の生徒でも国語アレルギーを持つ生徒はほとんどいないという。模試の成績も順調に伸びている。また、今年の夏、「文章表現」を受講している生徒全員が応募した、東北大創立100周年記念「青春のエッセー 阿部次郎記念賞」では、ある生徒が最優秀賞に輝き、学校賞も受賞した。
 「授業を通して生きる力が育っているかどうかはなかなか目には見えにくい。ただ、文学を通して、生き方のヒントを見つけたり、価値観の多様性を理解したりするきっかけになればと思います。私自身も説得力のある授業ができるよう、自分で小説や評論を書いたり、深く読み込んだりなどして、常に成長していくことが大切だと考えています」

  PAGE 2/2 前ページ
目次へもどる
高等学校向けトップへ