指導変革の軌跡 岐阜県立関高校「学力向上フロンティア事業の継承」

VIEW21[高校版] 新しい学力向上フロンティア事業の継承のパートナー
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分掌と学年が連携して役割を分担

 もう一つの課題は取り組みの継承だ。フロンティア事業が終了した05年度から08年度までで、半数の教師が入れ替わった。フロンティア事業を通して確立した指導スタイル、一つひとつの取り組みに込めた思い、そうした「フロンティア精神」を新たに赴任した教師にいかに継承していくかが、事業を推進してきた教師の切実な課題となっている。
 07年度に赴任した進路指導部副部長の羽賀均先生は、赴任時の印象を次のように語る。「生徒の志望を実現させようとする先生方の熱意、教師を信頼して学びに向かう生徒の意欲を強く感じる半面、学年によって手法が微妙に異なることも感じました。教師や生徒が変わっても、『関高』として変わることのない方法を確立し、組織全体が有機的に機能するように工夫すれば、更に素晴らしい学校になると感じました」
 そこで、同校は組織力の強化を模索している。分掌と学年が連携して役割分担を明確にし、学校全体が機能する体制を整える。それにより、教師の労力を削減すると共に、中心的なメンバーが異動しても取り組みが継続できるよう改善していくことがねらいだ。
 布石は着々と打っている。学年に任されていた授業評価アンケートの作成や集計は、06年度に教務部に移管された。大学別入試研究会も、かつては学年会が企画を立てていたが、今は進路指導部が受け持ち、学年と連携しながら行っている。
 「工夫次第でできることはまだたくさんあるはず。忙しさや意思疎通の難しさを嘆くのではなく、新しく赴任された先生方からもアイデアを出してもらい、新しいフロンティアの活動に生かしたいと思います」と、杉原先生は意気込みを語った。

組織力を強化し
関高の「スタンダード」を確立していきたい

進路指導部副部長 羽賀均


◎関高校の変身ぶりには、前任校にいたときから注目していました。2007年度、本校に赴任して感じたのは、「何となく東大」ではなく、明確な目標を描かせ、何としてでも志望を実現させようとする先生方の熱意です。成績に合わせて志望校を決めさせるのではなく、進路行事や普段の声かけを通して、更に高い気持ちを持たせようとする姿勢に、躍進の秘訣を見た思いがしました。同時に、私も改めて気持ちを引き締められました。
 一方で感じたのは、教師の個の力で生徒たちを引っ張り上げているということです。どの学年、どの先生方も一生懸命なのですが、学年主任の音頭の取り方によって、微妙に手法が異なっている。うまく歯車が回っているときは問題ありませんが、取り組みの意義やノウハウが伝わらないまま教師が入れ替わっていけば、いつかは停滞する危険性もあります。
 どんなによい取り組みでも、指導にあたる先生方が何となくかかわっているだけでは、全体として成果は上がりません。取り組みを形骸化させないためにも、教師が一丸となって同じ方向を目指し、意気込みを持って取り組むことが大切です。組織力の向上に努めて、関高の「スタンダード」を確立していきたい。それが、学校に新たな活力をもたらし、更なる躍進へとつながっていくと思っています。


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