特集 つなぐ教師の教科指導力
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特集
つなぐ教師の教科指導力 ― 後編 ―

前号の10月号では、教師が教科指導力を高めるための要素は何か、
どのような機会があるのかを、7人の先生方へのインタビューから整理した。
その結果、「3年間を見通す力」「生徒把握力」「作問力・評価力」「情熱と根気」
「学びへの動機付け」が、教師に必要な教科指導力の要素として見えてきた。
それでは、現場の先生方はこれらの力をどのように高めているのだろうか。
今号では、校内、校外で具体的に教科指導力を高めている四つの実践事例を紹介する。

OVERHEAD VIEW

視点校内でつなぐ

他教科も含めて授業を見せ合う

効果

◎他教科の授業見学によって、同教科では見えにくい指導の視点が得られる
◎自分の教えている生徒の興味・関心や弱点などの実態を客観視できる

担当者全員で模試答案を分析する

効果

◎授業の理解度、定着度を客観的に把握することができる
◎定期考査や校内実力テストの作問力が高まる
◎教科や学年を超えて、学年・学校全体の教師の意識が高まる

視点校外でつなぐ

小学校や中学校の指導から学ぶ

効果

◎教材の活用方法、板書の仕方など、子どもを授業に引き付けるスキルが学べる
◎目の前の児童・生徒の実態に合わせて指導内容を変える柔軟性を学べる

他校も含め入試研究会を実施

効果

◎つまずきやすい箇所は今も昔も同じで、必要な指導は本質的に変わらないことがわかる
◎入試分析という共通の課題を通じて、他校の教師と、育てたい生徒像や指導法を議論できる

取材した先生方の声

校内での活動

「『先生の授業は丁寧ですね』と指摘されました。(中略)褒め言葉だったのかもしれませんが、授業を丁寧にしすぎることが、この学校の生徒にとってよいことなのかどうかを考えさせられました」

〈富山県立富山高校/砂子朋子先生〉

「生徒の模試の解答をじっくり見ることによって、厳しい現実が改めて浮かび上がってきます。(中略)授業では模試分析レポートで取り上げた内容を必ず復習させるように心がけ、問題を地道に繰り返し、量をこなすように徹底しています」

〈山口県立山口高校/山本純子先生〉

校外での活動

「もう1つ学んだのは、『気づき』は、だれかに教えられるものではなく、実践の中から体得していくものだということです」

〈東京都立片倉高校/荒木奈美先生〉

「何よりも痛感したのは、『評価』を授業改善に生かすという認識が、高校現場では非常に薄いことです」

〈千代田区立九段中等教育学校/高橋省司先生〉

「生徒に『先生が一生懸命、入試問題を分析しているから安心』と言われ、自信になりました」

〈岐阜県立関高校/坪内有美子先生〉

「ほかの人がまとめた出題傾向を見るのではなく、過去問を実際に10年分解くことが重要だとわかりました」

〈岐阜県立可児高校/今枝誠先生〉


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