特集 つなぐ教師の教科指導力

山口県立山口高校

◎2010年に創立140年を迎える県内屈指の伝統校。「至誠剛健」を校訓として、知・徳・体の全人格的なバランスの取れた生徒の育成を目指す。04年度から3年間、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール」の指定を受けた。

設立●高校:1870(明治3)年

形態●全日制(普通科・理数科)、定時制、通信制/共学

生徒数(1学年)●320名(全日制)

08年度進路実績●国公立大には北海道大、東北大、東京大、名古屋大、京都大、大阪大、岡山大、広島大、九州大など255名が合格。私立大には、慶應義塾大、早稲田大、同志社大、立命館大、関西学院大、西南学院大など延べ502名が合格。

住所●〒753-8508 山口県山口市糸米1-9-1

TEL●083-922-8511

WEB PAGE●http://www.
yamaguchi-h.ysn21.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【視点1】校内でつなぐ:山口県立山口高校

「模試分析会」における他教科とのつながりが
教師の意識改革を促す

2003年度、山口県立山口高校は進路指導部主導の下、3学年すべての模試において分析会を導入した。
生徒の模試解答につぶさに目を通して分析し、授業改善に生かすと共に、模試分析会を通じて教師の意識改革、ノウハウの共有を進めている。

人事異動があっても自校の指導を維持させる

 山口高校が模試分析会を始めたのは、2003年度のことだ。この年、島根県の先進校を訪問し、卒業生の成績や入試情報の活用法、情報共有のノウハウなどを学んだ中で、特に着目したのが「模試分析会」だった。模試の答案を各教科の教師がチェック。定着度の確認や誤答の傾向、学習法や参考書の活用法などを分析し、それらをまとめたプリントを生徒に配付する。生徒の主体的な学びを促すと同時に、教師間で共有し指導改善に生かすのがねらいだ。同校でも以前から模試データを教師間で共有していたが、過年度比較などにとどまり、データを指導改善に生かすという取り組みはなかった。
 模試分析会を現在の方法にしたのは、人事異動による人材流出への危機感があったからだ。01〜03年度にかけて、長年同校を支えてきたベテラン教師が相次いで異動したが、同校に赴任してくる教師は必ずしも進学校の経験者ばかりではなかった。教師が替わっても、一定レベルの指導を維持することが課題となった。当時、模試分析会導入を主導した進路指導部副部長の木嶋太郎先生は、次のように話す。
 「私自身そうでしたが、1〜3学年を最低一回りは経験しないと、新任校での指導のコツはなかなかつかめないものです。転任してきた先生でも本校で求められる指導を短期間でつかめるシステムを定着させることによって、指導の平準化、ノウハウの継承ができると考えました」
 同校では長年、各学年の指導は学年団が主体となって行われてきた。そのため、教師個人のスキルや意識の違いによって、学年の実績にも波が生じやすかった。模試分析会を全学年が同じ手法で行えば、その波を解消し、学校全体の指導力の底上げが可能だ、と考えたという。

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