特集 中・高・大とつなげる「学び」と「指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「探る時期」があって 「伸ばす時期」がある

 一方の「個性」ですが、子どもは思春期になると、「自分には何が向いているのだろう。何がしたいのだろう」と模索し始めます。これが「探る時期」です。やがて自分に合った方向が見つかると、それを「伸ばす時期」へと進んでいききす。
 そういう意味で、中学校の選択教科は、自分は何に向いているか「個性を探る」ために活用されるべきでした。したがって、一つひとつの科目の学習期間や内容は「短く、浅く」でよく、いろいろな科目を試しながら、自分に向いた分野を探らせることが大切でした。
 ところが、高校と同じように通年履修の本格的な選択教科を導入したために、うまく機能しませんでした。あれこれと探らせる前に、いきなり生徒に選択させて伸ばそうとしてしまったのです。こうした運用面の失敗が原因で、中学校の新課程で選択教科の枠組みがなくなってしまうことは、私としては大変残念です。
 中学校時代にしっかりと「探る経験」をさせていれば、高校で選択科目の中から自分に向いた科目を選ぶときも、あるいは大学や学部などの進路を定めるときも、比較的迷うことなくこれを決定することができます。高校としては、あとは選択した「個性」を伸ばしてあげればよい。
 しかし現実には、「探る経験」が不十分なまま、高校に入学する生徒が少なくないと思います。だからこそ、高校には「探らせた上で、伸ばす」という二重の役割が期待されていると、私は思うのです。

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