特集 「大学入試分析」を生かす
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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偏差値の堅調な推移が意欲の維持につながる

 同校では例年、模試の偏差値は学年が上がるごとに下降線をたどり、入試直前に落ち込んだ分を取り戻す、というのが特徴だった(図1)。ところが、この学年は毎日のプリントの成果もあり、基礎学力の定着度が高く、1年生から2年生、2年生から3年生の進級時に偏差値が下がらなかった。これも躍進に大きな影響を及ぼした。
 「1年生時から東北大の入試問題に慣れさせたこと、偏差値がキープできたために、あきらめる生徒が少なかったことが、学年全体として高いモチベーションを保てた大きな要因です。毎年、東北大を狙える実力がありながら私立大の指定校推薦入試に変える生徒が一定数いましたが、この学年には易きに流れる雰囲気がありませんでした」(遠藤先生)
 その好影響を受けたのが国語だ。寺崎昌尚先生は、国語では例年以上に充実した指導ができたと話す。
 「3年生の6月からは放課後に課外講座を開きますが、例年は東北大文系志望者が大幅に減ってしまうため、国語の東北大講座を開けませんでした。しかし、この学年は東北大志望者数がほぼ維持できたため、国語の講座を設定できました。個別学力試験対策を組織的に指導できたのは大きかった。生徒にとっても同じ志望校の仲間と学習でき、良い動機付けになったようです」
 授業にしっかり取り組ませれば東北大入試は十分に勝算があると判断したのは教師個々の経験則だったが、それに基づいた指導は09年度入試で大きな実りとなった。この経験は、入試結果を分析し、指導に生かす重要性を改めて感じさせてくれたと、森先生は話す。
 「教師に必要なのは、入試問題の出題傾向を自校の生徒に合った指導にどう反映させるかという視点で分析する力です。この経験を学校全体で共有し、組織的な指導に結び付けることが、本校の今後の課題です」
図1

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