特集 「大学入試分析」を生かす
神谷久

▲愛知県立刈谷高校

神谷久

Kamiya Hisashi
教職歴25年。同校赴任歴16年目。進路指導主事。数学科。「生徒が基礎基本を身に付けられる指導をしたい」

大須賀義弘

▲愛知県立刈谷高校

大須賀義弘

Osuka Yoshihiro
教職歴29年。同校赴任歴4年目。進路指導部。英語科。「狭い英語力にとどまらず総合力を身に付けさせたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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問題の解き方よりも思考法の指導を重視

 次の大きな山は、3年生進級時の春休みに実施する「スプリングセミナー」だ。希望者を対象に(実際には部活動がある生徒以外はほぼ全員参加)、終業式の翌日から5日間、90分×4コマずつで、東京大や京都大などの難関大の入試問題を用いて演習に取り組む。
 もちろん、この時点で東京大の問題が解ける生徒はほとんどいない。「10か月後の入試本番までに同レベルの問題を解けなければ合格できない」という生徒へのメッセージであり、これから本格化する受験勉強のシミュレーションでもある。セミナーを指導するのは、新3年生の教科担当を中心に、国、地歴、公民、数、理、英のほぼすべての教師。
 セミナーを初めて担当する教師がまず戸惑うのは、問題の選び方だ。その大学の特徴を端的に表す良問を選び、生徒に提示しなければならない。実際に問題を解かせた後は、出題意図や陥りやすいミスなどについて解説する。
 「このセミナーは、いかに点数を取らせるかということが指導の目的ではありません。大切なことは、出題者が何を問おうとしているのか、解答するためにはどのように考えればよいのかという思考法を伝えることです。そのため、生徒が解くことで思考力が培われる『良問』を選ぶ目が求められます」と、神谷先生は話す。
 問題文に隠されたヒントを探り出し、その時点で持っている知識と結び付けるという思考法を習得しなければ、難関大の問題には太刀打ちできない。新任・転任の教師は、その思考法を自分自身でよく理解した上で、いかに生徒に伝えるか知恵を絞り、ベテラン教師のアドバイスを受けながら、受験指導に必要な問題分析力・指導力を高めていくのである。
図1

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