指導変革の軌跡 静岡県立静岡高校「初期指導強化」
静岡県立静岡高校

静岡県立静岡高校

◎「卬高(高きを仰ぐ)」を校訓として、「勉強を本分とする」「人に迷惑をかけない」「自主的に行動する」を実践目標とする。伝統校らしく、長い歴史を誇る部活動が多い。1896年創設の野球部、1899年創部の水泳部、1904年発足のテニス部などが活躍している。

設立●1878(明治11)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数●1学年約320名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大には東北大、東京大、静岡大、浜松医大、名古屋大、京都大、大阪大など215人が合格。私立大には、慶應義塾大、上智大、東京理科大、早稲田大、同志社大、立命館大など延べ582人が合格。

住所●〒420-8608 静岡県静岡市葵区長谷町66

TEL●054-245-0567

WEB PAGE●http://www.
shizuoka-h.ed.jp/


福田次郎

▲静岡県立静岡高校

福田次郎

Fukuda Jiro
教職歴27年。同校に赴任して4年目。進路指導課長。「教師が結果を恐れず信じた道を進む限り、生徒が教師を裏切ることはない」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡124


静岡県立静岡高校「初期指導強化」

「当たり前のこと」の徹底が
学びに向かう姿勢を生み出す

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎生徒の主体性を重視する指導が通用しなくなり、難関大志望者が減少
◎「課題提出」「追試」などを徹底し、模試の活用を推進。進路指導課が主導し、全学年で取り組みを導入する
◎模試の結果が堅調に推移。東京大・京都大志望者は例年の倍になり、難関大を目指す生徒が増えた

生徒の意識の変化から初期指導を強化

 学校現場において、「生徒が当たり前のことを当たり前に行う」のは簡単なようで難しい。この「当たり前のこと」を徹底し、生徒が前向きに学びに向かう姿勢を育んでいるのが、静岡県立静岡高校だ。
 同校が初期指導を強化したのは、前・進路指導課長の鈴木孝司先生(現・清水東高校)の時代からだ。背景には、生徒の学力低下に対する危機感があり、実際に難関大志望者が年々減り、合格実績も決して高くはなかった。ただ、同校は旧制中学の系譜を引く伝統校であり、地域の信頼も厚く、目立った改革をせずとも成績上位層の生徒が集まっていた。伝統的に生徒の自主性を重んじる校風と相まって、教師が手をかけることによって、かえって生徒の主体性を損なうと考える教師も少なくなかった。
 その風潮が、初期指導の強化によって「現状を変えよう」という意識に徐々に変化し、2007年度入学生(現・3年生)から本格的な改革に乗り出した。
 この学年の指導において最も重視したのは、「当たり前のことを当たり前にする指導」だった。「課題は期日までに一定レベル以上の内容を確実に提出させる」ことを学年団で共有し、生徒にもその重要性を学年集会やLHRで繰り返し訴えた。進路指導課長の福田次郎先生は、次のように振り返る。

「学年色が濃い本校のような伝統校では、学校全体として改革を進めようとしても、なかなかうまくいきません。しかし、学年主任を中心として、学年団が一致団結して取り組めば、校内の流れは変わります。当時、1学年主任の斎藤隆男先生(現・3学年主任)は、学年進路担当の鈴木健之(けんじ)先生(現・静岡東高校)、数学担当の山﨑裕己先生と共に、当たり前のことを徹底する指導を率先して行い、新たな取り組みを次々と始めました。一見、強引にも見える手法ですが、かえって『自分たちも取り組まなければならない』というほかの教師の意識を高めることにつながったと思います」


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