06年度の高校入試で、同校の倍率は2倍を記録。進学希望者も増え、生徒の進路選択の基準は「入れる大学」から「入りたい大学」へと変わった。5割強だった高校卒業時の進路決定率も、今では8割になった。しかし、課題もある。
「生徒の志望レベルが高くなり、実際の学力レベルとの差が生じています。褒めて自信を付けさせる指導だけでは、生徒の多様な志望を実現させるのは難しい。新たな展開が必要だと感じています」(米山先生)
今後、確かな基礎基本の定着を図るために「マルチベーシック」をいかに工夫改善するかが大きな課題だ。
「13年度に全面実施となる高校の新学習指導要領では、スパイラルに学び直す学習プロセスが強調されています。ここに、『マルチベーシック』をどうリンクさせていくかということが大きなポイントになると考えています。目の前の生徒の成長を正確に把握し、今後の教育課程全体の中での位置付けを考えていきたいと思っています」(渡邉教頭)
困難校からの再生を果たした自信を胸に、教師たちは新たな第一歩を踏み出そうとしている。
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