指導変革の軌跡 大阪府・私立追手門学院中学校・高校
吉村俊介

▲追手門学院中学校・高校教頭

吉村俊介

Yoshimura Shunsuke
教職歴・赴任歴共に34年。前学習統括委員長。「生徒・保護者の期待に応える、質の高い教育を実践していきたい」

木内淳詞

▲追手門学院中学校・高校

木内淳詞

Kiuchi Junji
教職歴・赴任歴共に23年。入試委員長。「現状把握は悲観的に、行動する時は楽観的に」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学校の将来像を考えるため目的別に5つの委員会を発足

  定員割れの打開策として、まずコース制を導入した。英数・理数・総合文理の3コースを置き、きめ細かな学習指導と難関大学合格の実現を明確に打ち出した。01年2月には、当時の土井邦孝校長の決断により、改革を企画・立案する専門組織として「教育改革委員会」を設置。傘下に、「入試改革委員会」「学習統轄委員会」「特別教育委員会」を設け、学習オリエンテーションや授業アンケートなど、新たな施策を次々と導入した(*本誌02年6月号参照)。
 6年間一貫教育の構築も、改革の目玉の一つだった。中高の接続を考える「6年制委員会」を設置。佐々木校長が委員長となり、一貫制システムの整備について検討を始めた。これが後の「学習会」へと発展する。
 「6年間一貫教育校としての制度整備は、学校全体の方向性にかかわる問題です。当時、本校には学校全体の将来像を描いたり、方向性を定めたりする組織はなく、必然的に『6年制委員会』が企画・推進の機能を担うようになったのです」(佐々木校長)
 議論が深まれば深まるほど、将来像を描く困難さが明らかになっていった。中高一貫校としての学校像を描くからには、システム論だけを議論していても始まらない。募集戦略から学習指導の改善、出口指導に至るまで、学校のあらゆる部分を見直さなければならないことが分かってきた。
 校内だけで話し合っていても、突破口は見いだせない――。委員会のメンバーは、状況打破を企図し、2人1組となって他校を多数視察した。生徒募集、学習・進路指導のノウハウ、教師の意識などについて聞き取りしてレポートにまとめ、発表することを繰り返した。
 「本校の教師の多くは、自分たちの教育に誇りや自信を持っている半面、教育成果を客観的にとらえたり、生徒や保護者、塾の先生からの評価に対しての関心が希薄でした。私自身、教師としての駆け出しの頃は、『生徒は勝手に集まってくるもの』『先輩方が集めてくれるもの』という意識がありました。生徒募集や進学実績にこだわる他校の姿を目の当たりにして、『学校を変える前に、まずは自分自身が変わらなければならない』という危機意識を強く感じました」(木内先生)

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