30代教師の情熱
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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現在の私
生徒を信頼し、いかに協働して授業をつくるか

 赴任2年目には、学園祭実行委員の顧問を務めました。本校では学校行事のほとんどを生徒自身がつくり上げていくので、顧問は生徒をサポートしながら、調整をするのが役割です。生徒は、仕事を任せ、自ら考えさせることで驚くような成長をし、成果を出しました。この経験から、生徒の能力と可能性を信じることが大切だと改めて感じました。
 授業でも、教師が教え込むだけでなく、生徒に考えさせ、力を引き出せるようになりたい。私はそう思い、現在、少しずつ授業を変えています。特に現代文は、決まったことを教えるというよりも、いろいろな意見を出させたり、答えを導く過程が大事だったりします。正解を出すこと以上に、考えることが大切だということを授業で伝えたいと思い、生徒が学ぶ過程を楽しめるような「遊び」を取り入れるようにしました
 私の高校時代の恩師は、「落語のような授業を目指している」と言っていました。導入で生徒を引き込み、話を進めながらところどころで笑わせ、最後には考えさせて終わる。「遊び」を取り入れた授業は、予習ノート通りの授業と比べ、予測ができないので怖いです。しかし、生徒と歩調が合った時にはとても充実した授業になると感じています
 最近の授業では、「理念・概念・観念」の違いを考えさせました。それぞれの言葉の意味を立ち止まって考えた経験は、文章を読み込んだり、誰かと話をしたりする際に生きてくるのではないかと思っています。ほかにも、一言で済ませてもよいことを30分掛けて考えさせたり、課題文と関連する資料を読ませたりと、試行錯誤を続けています。
 しかし、「これなら生徒が関心を示すだろう」と思っても、実際にはうまくいかないことばかりです。同じ内容で進めているはずなのに、あるクラスではうまくいったことが、ほかのクラスでは全然ダメだったということがよくあります。授業後には何が悪かったのか、良かったのかを振り返るようにしています。目立たない生徒もしっかり授業に巻き込むことが出来ていたか、受験を見据えた指導とのバランスは適切だったか、今はそれらのポイントで振り返りをしています。
 「指導力は、授業で実践していくことで磨かれる」と自分を鼓舞し、考えたことを教室で投げ掛け、生徒の正直な反応を受けて、「良かった、ダメだった」を繰り返しています。生徒に教えつつも、生徒に育ててもらっているようなものであり、これからも生徒と一緒に授業をつくっていこうと思います

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