地方公立高校の挑戦
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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VIEW'S REPORT

自己肯定感を高めるために生徒とどう向き合っているのか

中学校の現場から

生徒が自立しにくい背景に、「自己肯定感の低さ」「自信のなさ」がよく挙げられる。
中学校においても同様の課題を抱え、生徒指導に工夫を凝らしている。
今号では、生徒を「認める」指導サイクルを確立した佐賀市立金泉(きんせん)中学校の取り組みをリポートする。

依然として低い 生徒の自己肯定感

 文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、2007年度、中学校においていじめの件数は減少が見られたものの、校内暴力の発生件数は3万3525件と過去最多となった。学校数で見ても、暴力行為が発生した中学校数は4051校に達し、中学校の約37%が何らかの暴力行為に悩んでいることになる。
 また、近年、「自分への自信や将来への前向きな気持ちが低い生徒が多い」としばしば言われる。財団法人日本青少年研究所『中学生・高校生の生活と意識調査報告書』によると、日本の中学生は、他国と比較して、自分の能力に肯定的な態度を持つ割合が低い傾向が明らかになった()。更に、「親によく褒められると感じていない生徒」や「自分の意思を持って行動できない生徒」に、「自分はダメな人間である」と思う傾向がより強く見られた。
 このような現状の中、生徒の自己肯定感を高めることで問題行動を減らす取り組みをしている、佐賀市立金泉中学校の事例を紹介する。

図:自己肯定感に関する日米比較
出典/『中学生・高校生の生活と意識調査報告書』(財団法人日本青少年研究所)。2008年9〜10月実施。対象は日本、米国、中国、韓国の中学生と高校生。日本は中学生807人、高校生1,210人。上図では、日本とアメリカの中学生の結果のみ掲載している

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