私を育てたあの時代、あの出会い

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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先輩教師の言葉

一生懸命な姿は
ほかの教師が必ず見ています

福井県立丹生(にゅう)高校校長 長谷川重弘
 浅野先生が、母校の後輩に対する熱い思いを持って赴任してきたことは知っていました。事実、浅野先生はいつも生徒と一緒に汗をかいていました。例えば、高志高校は学校祭が盛大なのですが、その分、生徒会担当になった教師は大変です。多くの先生が1年やれば十分と思っているその役目を、浅野先生は「来年もぜひやりたい」と言っていました。労をいとわない向上心に感心したものです。
 だから、東京大訪問でも私は浅野先生に声を掛けました。前例が少なく、大学にも高校にもノウハウが乏しい中、大学とのさまざまな交渉を根気強く続けてくれました。「生徒のためになる」という確信が、浅野先生にもあったんだと思います。
 一緒にいた11年間のうち、特に進路指導部の仕事では、最も信頼している教師として、浅野先生には高い要求をしていたように記憶しています。高志高校といえども、進路指導部がリーダーシップを発揮しないと、学校全体としての進路保証は困難だからです。ただ、私は浅野先生を叱ったことを覚えていません。浅野先生は「私の考えをすぐ理解して、すぐに動いてくれる」ので、失敗など本当に記憶にないんです。そもそも浅野先生は、一緒に頑張ってきた「仲間」というべき存在ですから。
 教科指導でも生徒指導でも、私たちの仕事に「ここまでやれば終わり」というものはありません。教師としての勉強にも終わりがない。もしも教師が勉強しなければ、生徒の可能性を最後まで信じることもできません。多様な個性に対応できる力を身に付けるには、教師は常に勉強が必要なのです。浅野先生はそれができる人でした。
 私たちは生徒に、「一生懸命な姿は、誰かが見ている」と話します。それは教師も同じです。一生懸命な姿を同僚は見ています。私も、生徒のために懸命だった浅野先生をいつも見ていました。改まって言葉にはしなかったとしても、人間同士のつながりを信じている。だから、生徒も教師も頑張れるのだと思います。
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